新規事業コンサル

大手企業の新規事業: 大企業ならではの難しさや社内での立ち位置等について徹底解説

はじめに

新規事業は、企業が成長を続けるために欠かせない要素です。しかし、大手企業が新規事業を立ち上げる際には、さまざまな困難が伴います。本コラムでは、新規事業を行う大手企業の現状や課題について解説し、スタートアップとの違いや、社内での新規事業推進室の立ち位置の難しさについて考察します。

尚、弊社では新規事業のコンサルティング支援サービスを行っております。新規事業に関してお困りの事があれば、お気軽にご連絡ください。

株式会社tryXの新規事業コンサルティング支援について詳しく >

1: 新規事業を行う大手企業の現状

1-1: 新規事業開発の重要性

大手企業にとって、新規事業開発はビジネス成長のために欠かせない重要な戦略です。新たな市場への進出や顧客層の拡大を実現することができます。特に、競合他社から差別化するためには、従来にない新商品やサービスの開発が必要となります。また、新規事業を開発することで、企業の収益源をより多角化して、収益を拡大することもできます。企業の持続的な成長に向け、常に新しいアイデアを出し続けることが必要です。新規事業開発に取り組むことは、企業の長期的な発展のために必要不可欠な取り組みであり、積極的な投資をしていくことが求められます。

< 弊社サービスご紹介 >

イノベーター向けニュースアプリINFOHUB_banner_l

1-2: 大手企業における新規事業の課題

新規事業を立ち上げる際には、大手企業にも多くの課題が存在します。その中でも重要な課題を以下に紹介します。

・既存事業とのバランス調整
大手企業にとって、既存事業とのバランスが最重要課題となります。新規事業に資源を割くことで既存事業の疲弊を招いたり、新規事業が失敗した際に既存事業までもが損害を受ける可能性があります。そのため、新規事業が既存事業と相乗効果を生むよう、バランスを見極めることが重要です。

・組織構造や文化の制約
組織構造や文化に制約があるため、新規事業を柔軟に開発することは困難です。特に人材の配分が交差する場合、組織内で競合や嫉妬の感情が起きることがあります。そのため、上層部からのリーダーシップと変革意識を醸成することが求められます。

・リソースの配分
新規事業を開発するためには、資源(人材・予算)の配分が必要です。しかし、既存事業で利益を出すためにも資源は必要であり、新規事業を優先するだけでは企業全体としての収益に悪影響を及ぼす場合があります。そのため、バランス感覚を持ってリソース配分を行う必要があります。

・社内政治
新規事業開発において、社内政治的な問題が企業内の進捗を妨げることがあります。例えば、特定の部署が優先されたり、お互いのパワーバランスで優位を保とうとする闘争心があったりします。新規事業は長期的なビジョンや目標を持って展開する必要があります。そのため、社内政治的な問題が生じないよう透明性とコンプライアンスを重視した取り組みが求められます。

1-3: 社内資源の活用

新規事業開発において、社内資源を有効に活用することが重要です。大手企業は、その豊富な資金力や人材、技術力を新規事業に投入することで、成功確率を高めることが可能です。しかし、単に社内リソースを流用するだけではなく、それを適切かつ効果的に活用することが重要です。そのためには、新規事業の特性や市場ニーズといった要素を考慮して、社内リソースを組み合わせる必要があります。また、既存事業とのシナジー効果を最大限に発揮し、新規事業と既存事業が相乗効果を生むことで、新規事業の競争力を高めることが求められます。社内リソースを適切に活用することで、大手企業は新規事業開発において有利な立場を築くことができます。

1-4:組織の柔軟性とスピード感

新規事業を成功させるためには、大手企業は組織の柔軟性とスピード感を持つ必要があります。新規事業は、変化に富む市場環境に迅速に適応する必要があるため、企業の組織構造や意思決定プロセスに柔軟性が求められます。大企業は、従来のビジネスに慣れ親しんでいるため、新しい考え方やアプローチを採用することが難しい場合があります。しかし、柔軟な組織構造とプロセスにより、新規事業はよりアジャイルになり、市場に合った製品やサービスの開発につながります。

また、スタートアップと競合する場合、迅速な意思決定と実行が不可欠です。大手企業が新規事業をスマートに立ち上げるためには、ビジネスプロセスを簡素化し、シンプルな方針を設定することが重要です。組織のリーダーは、常に最新の市場情報を把握し、現場の社員を励まし、新しいアイデアを生み出すことも必要です。企業は、内部の意思決定プロセスを簡素化し、意欲的な社員を新規事業に参加させることで、スピーディーなビジネス展開を可能にします。

新規事業の立ち上げプロセスについてもっと詳しく知りたい方は、以下を御覧ください↓

新規事業の立ち上げプロセス|8つのステップを詳しくご紹介

1-5: 社内政治との戦い

新たなビジネスを立ち上げる場合、社内政治による影響は避けられません。既存の事業部門や役員との利益調整や、新規事業へのリソース配分を適切に行うことが求められます。社内での新規事業に対する意識を高め、経営陣や関係部署との協力関係を強化することが重要です。また、新規事業推進を担当することにより、既存の組織や部門との対立が生じる場合もあります。その場合、過度な紛争を避け、上層部の理解や支援を得ながら、新規事業の推進を進めることが必要です。新規事業の成果が実証されると、リソース配分や社内認知度の向上が期待できます。社内政治との適切なコミュニケーションを取り、社員の理解や支援を得ながら、新規事業を推進することが大切です。

< 弊社サービスご紹介 >

2: スタートアップと大手企業の新規事業の違い

2-1: リスクとリターンの違い

スタートアップと大手企業は、新規事業におけるリスクとリターンのバランスについて異なる考え方をします。スタートアップは、成長に必要な資金を調達するために投資家から資金を調達することが一般的で、そのためには大きなリターンを目指す必要があります。そのため、リスクを取ることが多く、成功すれば大きな利益を得ることができますが、失敗すれば資金が失われる可能性があります。一方、大手企業は、持続的な成長を目指し、リスクを最小限に抑えた投資をします。そのため、新規事業においても安定した収益を求めることが主な目的となります。このように、リスクとリターンの違いによって、新規事業の方向性やリソースの投入方法が異なります。スタートアップや大手企業の新規事業に取り組む際には、リスクとリターンのバランスに注意し、自社に合った戦略を慎重に選定することが重要です。

2-2: スピード感と意思決定の違い

スタートアップには、小規模な組織構成と簡素化された意思決定プロセスにより、スピード感と迅速な行動が可能な利点があります。一方で、大手企業は多くの人々が関わる複雑な意思決定プロセスを経ることがあり、スピード感に欠ける場合があります。そのため、新規事業開発において大手企業が成功するためには、組織内の意思決定プロセスを見直し、スピード感を持った取り組みが求められています。大手企業が新規事業に参入する場合には、より迅速な意思決定ができるように、小規模で独立した部門を立ち上げることが一つの解決策となります。このように、大手企業においてもスピード感と迅速な行動を可能にする仕組みを整備することが、新規事業開発において重要であると言えます。

2-3: 組織構造と文化の違い

スタートアップは、少数精鋭で迅速な意思決定ができるフラットな組織構造と、柔軟で自由な企業文化が特徴と見られます。それに対して、大手企業は、長年にわたって固定化され、厳格な階層構造があり、伝統的な企業文化が根強い場合が多いです。この違いが、新規事業推進に影響することがあります。大手企業が新規事業を行う場合、社内外のステークホルダーとの調整が必要となります。そのため、迅速な意思決定や柔軟性、チームワークが必要となります。大手企業が新たな事業を立ち上げるためには、フラットな組織体制が採用されることがあると考えられます。文化についても、大手企業では、エグゼクティブ層から下層部署に至るまで一貫した企業理念や、共通の価値観を持つことが重視されます。しかし、新規事業を行う際には、事業別に目的や環境が異なり、それに適合した企業文化を築くことが不可欠です。大手企業が新規事業を推進する際には、新しい視点やアイデアを取り入れることで、独自の魅力ある企業文化を形成することが求められます。そのため、大手企業が新規事業を行う際には、フラットな組織構造と柔軟な企業文化を採用する必要があると言えます。

2-4: ブランド力と顧客基盤の違い

大手企業は、過去の多くの取引実績から、高いブランド力と広範な顧客基盤を持っています。これに対して、スタートアップは新しいブランドを確立する必要があり、顧客基盤を築いていかなければなりません。大手企業は既存の顧客基盤を利用し、ブランド力を活かすことで新規事業の競争力を高めていく必要があります。一方、スタートアップはまだブランド力を持っておらず、新規の顧客基盤を獲得することが求められます。そのため、スタートアップはまず、顧客のニーズを理解し、それを元にブランド戦略を立て、顧客基盤を確立することが大切です。大手企業とスタートアップでは、ブランド力と顧客基盤をいかに活用していくかが異なるため、新規事業の戦略も違ってきます。大手企業にはブランド力や顧客基盤があり、スタートアップにはそのニーズを理解し、新しいブランドを確立することが求められます。

2-5: 人材の確保と育成

スタートアップが成長するためには、優秀な人材を確保し、スキルアップが必要不可欠です。一方、大手企業は、既存の人材を有効活用することで、新規事業に必要なスキルやマインドセットを身に付けた人材を育成することが重要です。大手企業は、これらの人材を育成するプログラムを整備し、新規事業への取り組みを支援する必要があります。大手企業がもつ豊富なリソースを活用することで、スタートアップにはない人材育成のメリットを享受することができます。それに対して、スタートアップが有するアジリティーを生かし、大手企業の人材育成プログラムと組み合わせることで、より効果的な人材育成が期待できます。さらに、双方の強みを活かすことで、協業による新規事業の創出が可能となります。

3: 社内における新規事業推進室の立ち位置の難しさ

3-1: 組織内での認知度向上

新規事業推進室が大手企業において果たす役割は大きいため、組織内での認知度向上が必要です。そのためには、社内コミュニケーションを活用し、新規事業の目標や進捗状況を共有することが重要です。これにより、他部門との協力関係を強化し、新規事業推進室の立場を確立することができます。また、社内での新規事業に関する情報を積極的に発信し、社員の興味と関心を引くことも効果的です。組織全体で新規事業に対する意識が高まれば、新規事業の成否に大きな影響を与えることになります。

3-2: 社内でのコラボレーション促進

新規事業推進室の重要な役割の一つに、社内の他部門とのコラボレーション促進が挙げられます。社内での協力体制を築くことで、新規事業の成功に大きく貢献することができます。

具体的には、各部署の専門的知識や経験を活かしながら、共同プロジェクトやワークショップを実施することで、意見交換やアイデア出しを促進し、新しいビジネスチャンスを生み出すことが期待されます。

さらに、新規事業推進室は、社内外のネットワークを活用することも重要です。社内の他部署だけでなく、外部パートナーや業界団体とも連携し、知見の共有や進捗状況の報告などを行い、社内外のステークホルダーの期待に応えます。社内外の情報共有を通じて、新規事業の成功に不可欠な情報収集や競合分析などを行い、事業計画の策定に活かします。

以上のような活動を通じて、新規事業推進室は、社内のコラボレーション促進を推進し、新しいビジネスチャンスを創出することが期待されます。

3-3: 関連部門との連携強化

新規事業推進室は、関連部門との連携を強化することで、新規事業の成果を最大限に引き出すことができます。技術部門やマーケティング部門と連携し、新規事業の開発や市場投入を円滑に進めることが重要です。このためには、関連部門に効果的なコミュニケーションを行い、情報共有を徹底することが欠かせません。また、関連部門の業務や条件を知ることで、新規事業がその部門に貢献できるような提案を行うことも必要です。さらに、関連部門の支援やアドバイスを受け入れることで、新規事業の成功につなげることができます。関連部門との連携を強化することで、新規事業の成果を最大限に引き出し、より早く成長させることができます。

3-4: 成果主義と継続評価

新規事業推進室が求められるポイントの一つに、成果主義と継続評価のバランスを取ることがあります。事業の成長に向けて、成果を重視する一方で、継続的な評価を行うことが大切です。継続的な評価を通じて、新規事業の進捗状況や改善点などを把握し、適切なサポートを提供します。また、新規事業の目標やKPI(Key Performance Indicator)を明確に設定し、定期的なレビューを行うことで、目標達成に向けた戦略的なアプローチをとります。成果主義と継続評価をバランスよく行うことで、新規事業の持続的な成長を目指します。

3-5: 新規事業の成長戦略と経営層との連携

新規事業の成長戦略を策定する際には、経営層との連携が欠かせません。新規事業推進室では、経営層と意思疎通を図りながら、以下の具体的な戦略を策定することが求められます。

1. 目標設定:新規事業の目標を、経営層と共有し、明確に設定することが重要です。その際、現在のビジネスに縛られず、長期的な視野で目標を設定することが望ましいでしょう。

2. リソース配分:新規事業に必要な資金や人材、技術などのリソースを、経営層と共有しながら、適切に配分することが求められます。既存の事業からの余剰リソースを活用することも考慮する必要があります。

3. 期待される成果:新規事業から期待される成果を明確にし、その成果が達成された場合の報酬や評価基準も決定する必要があります。

以上の戦略を策定する際には、経営層とのコミュニケーションを密に行うことが求められます。新規事業の成長戦略と経営層との連携を円滑に行いながら、新規事業の成長を目指しましょう。

まとめ

大手企業が新規事業を成功させるためには、社内資源の活用や組織の柔軟性、スピード感の向上が重要です。また、スタートアップとの違いを理解し、社内における新規事業推進室の立ち位置の難しさに対処することが求められます。本コラムで紹介したポイントを押さえ、大手企業における新規事業の成功に向けた取り組みを進めましょう。

尚、弊社では新規事業のコンサルティング支援サービスを行っております。新規事業に関してお困りの事があれば、お気軽にご連絡ください。

株式会社tryXの新規事業コンサルティング支援について詳しく >

< 弊社サービスご紹介 >