目次
はじめに:新規事業のSWOT分析の重要性について
新規事業の展開は、企業成長の鍵となる一方で、企業リソースの大きな投資となります。その成功と失敗が企業の成長、時には存続に直結します。新規事業展開に当たって、その成功をより確実なものとするために、SWOT分析という手法が広く利用されています。
SWOT分析とは、企業や事業のStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を分析し、事業の方向性や戦略を明確にするための手法で、新規事業の戦略立案には欠かせない要素となっています。
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1:SWOT分析の基本的な手法とは
新規事業を立ち上げ成功させるには、「SWOT分析」が重要な役割を果たします。「SWOT分析」とは、組織が現在置かれている状況を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から総合的に理解し、それを基に行動計画を策定するための戦略分析手法です。それぞれの要素について、以下では具体的に解説していきます。
1-1:強み(Strength)の抽出と活用方法
新規事業が成功するためには、まずはその事業が持つ「強み」を理解することが必要です。これは事業が持つ独自性や競争優位性を示し、他の企業と差別化するための要素となります。強みを明確に抽出するためには、業績や市場シェア、独自の技術やノウハウなど、他の競合企業と比較して優れた部分を洗い出すことが必要です。また強みを活用するには、これを基に戦略を練り、新規事業の市場展開につなげることが重要です。
1-2:弱み(Weakness)の認識と緩和策
強みと同様に、事業が持つ「弱み」を認識し、それをどのように克服するかが新規事業の成功につながります。「弱み」は市場の中で事業が直面している問題点や課題となる要素です。これには、人材、財政、市場環境、技術環境などが考えられます。弱みを緩和するには、「改善策」を立案し、それを具体的な行動計画に落とし込むことが求められます。
1-3:機会(Opportunity)の発見と活用方法
次に、「機会」の視点から新規事業を考えることが求められます。「機会」は市場の中で事業が活用することのできる新たな可能性を指します。これは、市場のニーズやトレンド、社会的な変化、法制度の変更など環境の変化から発見することができます。「機会」を活用するためには、こうした変化を見つける視野の広さとスピードが求められます。そして、それをどのように事業に取り込んでいくかが問われます。
1-4:脅威(Threat)の把握と対策方針
最後に、「脅威」を考慮することが必要です。「脅威」は、事業が直面する可能性のあるリスクや危険を示します。これには競合他社の動き、市場の変化、技術の進化や法規制の変更など、多様な要素が考えられます。「脅威」を把握するためには、定期的な市場分析や競合分析、リスク分析が求められます。そして、「脅威」に対する対策方針を定め、それを具体的な行動計画に落とし込むことが重要となります。
以上、新規事業におけるSWOT分析の基本的な手法について解説しました。「強み」、「弱み」、「機会」、「脅威」を明確にすることで、新規事業の方向性と戦略が見えてきます。この分析を通じて、新規事業の成功につなげていくことが求められます。
1-5:強み(Strength)の抽出と活用方法
企業が新規事業を考える段階での最もエレメンタリーな分析ツールの一つが、SWOT分析です。この分析における「Strength(強み)」とは、企業が持つ相対的な優位性を指す要素です。つまり、他の競合他社が持たない、一歩リードしている要素のことを指します。以下では、Strengthの抽出とその活用方法について、具体的に説明します。
まず、強みを抽き出すためには、内部環境分析が有効です。具体的には以下のような視点での分析が考えられます。
- 企業が独自に持つ知識・技術
- 認知度・ブランドイメージ
- 販売チャネル・ネットワーク
- 経営資源(資本、人材など)
これらは、自社が持つ強みであると同時に、新規事業の成功に寄与する重要な要素です。特に、他社では模倣が難しい経営資源は、競争優位の源泉となり得ます。
抽出した強みは、新規事業の企画・具体化に活用します。具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 自社の強みを活かす事業領域の選定
- 強みを活かす具体的なサービスや商品の企画
- 強みを最大限に生かすための戦略策定(マーケティング戦略、販売戦略など)
例えば、強い技術力を持つ企業が新規事業を考える場合、自社の技術力を最大限に活用できる事業領域を選定し、その技術力を活かした独自の商品やサービスを企画します。また、その商品やサービスが市場で認知され、自社の強みが消費者に理解されるようなマーケティング戦略を策定することも重要です。
このように、自社の強みを明確に認識し、その強みを最大限に活かす方向で事業計画を立てることが、新規事業成功の一歩となります。明確な強みが自社の「競争力」に直結するからです。もちろん、強みを活かすだけではなく、弱みを補う戦略も同時に考える必要がありますが、その点については次回のテーマで詳しく考察します。
以上、新規事業に取り組む際のSWOT分析での「強み」抽出とその活用方法について解説しましたが、企業の強みを知り、戦略に活かすことが、新規事業の成功への重要なステップであることを覚えておいてください。
1-6:弱み(Weakness)の認識と緩和策
新規事業におけるSWOT分析の一部として、「弱み(Weakness)」の認識と緩和策を理解し、適切に対応することは非常に重要です。以下では、弱みの認識方法とその緩和策について具体的に解説します。
まず、「弱み(Weakness)」を認識するためには、自社の内部要因を明確に把握することが必要です。これには、以下のような視点が求められます。
- 自社の財務状況
- 製品の品質
- 経営陣の経験とスキル
- 社員のスキルと士気
- ビジネスモデルの弱点
このように、弱みは自社が把握している内部要因によって導き出されます。だからこそ、これらの要因を見つめ直すことは、新規事業に適応するための必要な一歩となるのです。
では、具体的に弱みを認識し、その緩和策を策定するためには、どのようなステップスを踏むべきなのでしょうか。
新規事業で必要なスキルについてもっと詳しく知りたい方は、以下を御覧ください↓
Step1:弱みの特定
自社が直面している問題や課題をビジネスモデルの視点から明確に特定します。特定の方法としては、一部の社員にビジネスモデルや業務の状況についてフィードバックを求める、顧客や流通パートナーからのフィードバックを有益な情報として活用するなどがあります。
Step2:弱みの評価と分析
特定された弱みを評価し、その重要度や直接性を分析します。この過程で特定した弱みが事業にどのような影響を及ぼすのか、どの程度のリソースを費やすことで解決可能なのかを明確にします。
Step3:緩和策の策定
弱みを解決する策を練ります。この際、重要なのは、緩和策が実行可能であり、特定の弱みを解決するために確実に効果があることです。
このように、新規事業のSWOT分析において、「弱み(Weakness)の認識と緩和策」は、ビジネスを強化し、競争優位性を維持するために重要な要素です。安易に見過ごすことなく、しっかりと対応を練ることで、新規事業の成功に繋げることができます。
1-7:機会(Opportunity)の発見と活用方法
新規事業では、企業が発展していくうえでの機会(Opportunity)の発見が不可欠です。絶えず変化する市場状況の中で、自社が活かせるチャンスを見つけ出し、うまく活用することが事業成功の鍵となるからです。
まず機会を見つけるためには、市場全体のトレンドを見ることが求められます。例えば、近年の消費者行動の変化、新たな技術の進化、法令の変更などがあります。これらの動きに敏感であることから、新規事業における新たなチャンスを見つけることができます。
では、発見した機会を如何に活用するかについて考えてみましょう。一つの方法は、機会を直接事業の強みに変えることです。例えば、新たな技術がもたらす市場のチャンスをつかみ、それを事業の新たな強みとして活かす。これには、新たな技術の獲得や、新しい市場への参入の検討などが考えられます。
また、機会の活用は、強みを活かすと同時に、弱みを補う手段にもなるでしょう。たとえば、自社の弱みが市場からの競争圧力にある場合、新規市場への参入や事業の多角化により、競争から距離を置くことも可能です。
しかし、機会を活用するためには注意が必要です。一つは、機会が永遠に続くわけではないということ。市場は絶えず変動し、今あるチャンスがすぐになくなることもあります。したがって、機会を見つけたときは迅速に行動することが重要です。もう一つは、全ての機会が自社にとってプラスになるわけではないということです。機会を選択するときには、多角的に考えることが求められます。
要約すると、新規事業における機会の発見と活用は、市場の変動に敏感であること、発見したチャンスを迅速に行動に移すこと、そして全ての機会が自社にとってプラスになるわけではないという視点を持つことが重要です。
これらを心がけることで、新規事業の成功に繋がる機会を見つけ、活用することが可能になるでしょう。
1-8:脅威(Threat)の把握と対策方針
新規事業において起こり得る脅威は、その事業の成功を阻む可能性のある外部からの要因です。倫理規定の変更、新たな競合の出現、経済の変動などがそれにあたります。脅威は事業にとっては困難な要因であり、把握することが成功への道筋を描くためには欠かせない要素です。
脅威の把握
新規事業推進にあたり、まずは可能な限り詳細に脅威を把握することが重要です。脅威の把握には、業界の動向、競合分析、顧客動向の分析など、極めて広範で深い視野が求められます。これらのデータは、市場調査、フィールド調査、顧客インタビュー、ネット調査など、多岐にわたる方法で入手することができます。
対策方針の策定
脅威を把握したら、次はそれにどのように対処するかの対策方針を策定します。業界や市場環境が急激に変化する中、脅威に対する対策はフレキシブルかつスピーディーに行う必要があります。具体的な対策としては、新技術の導入や事業領域の拡大、競合との協業などがあります。
- 新技術の導入:新たな技術を導入することで、競合に立ち向かう一方、市場劣勢を減らすことが可能です。例えば、AIやブロックチェーンを自社の事業に取り入れるなどが考えられます。
- 事業領域の拡大:一部の競争が激しい分野から事業を拡大し、リスクを分散する手法があります。例えば、関連する新市場への進出や、ビジネスモデルの多角化などがその例です。
- 競合との協業:競合との協業により、市場での競争を緩和し、リソースを共有することで効率的な事業展開を図ることが可能です。
新規事業に取り組む際には、これらの対策を適切に行うことで、脅威をチャンスに転化することも可能です。それにより、事業の成功の可能性を高めることができます。
2:新規事業におけるSWOT分析の具体的な活用事例
新規事業におけるSWOT分析の具体的な活用例について理解することは、新規事業推進の重要な一環となります。なぜなら、分析結果の活用には、具体的な事例を参照し、その戦略を適用することが求められるからです。SWOT分析の具体的な活用例から得られる知見は、新規事業の戦略研究、計画立案、適用のプロセスと結果に架ける重要な一橋となります。
では、具体的な活用例はなぜ重要なのでしょうか?以下では、次のポイントについて解説していきます。
- 成功事例とその分析方法
- 失敗事例とその教訓
- SWOT分析による戦略策定のポイント
2-1:成功事例とその分析方法
前述まででSWOT分析の基本的な手法について理解していただいたところで、新規事業におけるSWOT分析の成功事例とその分析方法について具体的に解説していきます。
ここでは、過去に新規事業展開に成功したあるIT企業の事例を取り上げます。彼らは、新規事業の企画段階でSWOT分析を活用して成功に導いた事例であり、その具体的な活用方法を知ることで、読者の皆さまの新規事業展開の参考になることでしょう。
IT企業の新規事業として、「AIを活用したビジネス最適化サービス」を展開した際のSWOT分析は以下のようでした。
- 強み(Strength):独自のAIを活用し、ビジネスプロセスを自動化・最適化することで、他社との競争力を確保しました。
- 弱み(Weakness):しかし、新技術の導入にあたりハード・ソフト両面での大規模な設備投資と、専門スタッフの確保がネックとなりました。
- 機会(Opportunity):業界のデジタル化が急速に進み、企業の業績改善に導く手段としてAIの活用が注目を集めていました。
- 脅威(Threat):しかし、競合他社もまたAIを活用した新規事業を進めており、競争が激化していました。
このように分析した結果を活用し、具体的な戦略としては以下のようにしたことが成功に繋がりました。
- 強みと機会を組み合わせて戦略を展開:AIを活用したビジネスの自動化・最適化ソリューションが注目を集めている機会をつかみ、これらを活用して競争力を確保しました。
- 弱みと脅威に対しては具体的な対策を考案:新技術の導入にあたり必要な大規模投資に対しては、短期的にはリスクを緩和するためにパートナーシップを組むこと。また、競争激化に対しては、自社のAI技術の特長を強くPRし、市場での優位性を確保しました。
2-2:失敗事例とその教訓
新規事業を進める上で、SWOT分析が適切に行われなかった結果、失敗に終わった事例を挙げて、その教訓を深く理解することが大切です。一例として、既存業界に新規進出を試み、市場規模が大きくてもその競争が激しいことを「脅威」に位置づけず、誤って「機会」であると誤解した例があります。結果として、市場競争に敗れ、事業は早期に撤退を余儀なくされました。
この事例から学べる教訓は、市場規模だけでなく、その市場での競争環境もしっかりと「脅威」の視点で評価することの重要性です。また、新規事業の開始前に、競合他社の事業展開や業界全体の動向を詳細に把握し、堅実な計画を立てることも重要です。
さらにもう一つの事例として、存在する「弱み」を認識しつつも、他社との競争に対する自社の「強み」に過度に自信を持ち、弱みを緩和するための対策を蔑ろにした場合も挙げられます。この結果、「弱み」が露呈した際に対抗策がなく、新規事業は悲観的な結果に繋がります。
この教訓から学べる事は、「強み」の存在は事業を前進させるための武器と捉えてはいけないことです。「弱み」があることを認識した上で、「強み」を十分に活かしつつ、逐一「弱み」の改善に取り組む。これが新規事業の課題解決に繋がります。
2-3:SWOT分析による戦略策定のポイント
新規事業へのSWOT分析の結果を戦略策定に具体的に活用する上での重要なポイントを紐解いていきます。SWOT分析を徹底的に活用することで、新規事業の戦略策定はより精緻で結果を出しやすいものになります。
①全体のバランスを視野に入れる
視野にいれるべき点は、各要素を単独で見るのではなく、全体のバランスを見ることが必要です。全体視野でのバランスとは、強みや機会がそのまま強化策や機会活用策に結びつくとは限らないということです。それらを考慮した上で、全体バランスを見つつ有効な戦略を策定する必要があります。
②弱みと脅威に対する対策を考える
SWOT分析において、弱みと脅威はビジネス上のリスク要素となります。それらへの対策を考えることで、リスクを低減化しビジネスの成長を促進することが求められます。具体的な弱みへの対策には、内部強化策が有効で、脅威への対策には市場環境の変化に対する機敏な対応が必要となります。
③有効な戦略の策定の流れ
次に具体的な戦略策定の流れを見ていきましょう。
- 分析結果の優先順位を決定する
- 戦略の具体策を策定し、リソースの配分を決定する
- 各戦略がビジネスの目標と整合性が合うかを再確認する
- 戦略の実行と評価を行い、必要に応じて修正や再調整を行う
これらのポイントを掴むことで、SWOT分析による戦略策定がより緻密に行えるようになります。新規事業の成功への道筋となることでしょう。
新規事業の目標設定についてもっと詳しく知りたい方は、以下を御覧ください↓
3:SWOT分析を効果的に行うための注意点とヒント
SWOT分析は新規事業の成功の鍵を握る重要なツールであり、その効果的な活用法とは何でしょうか。また、しっかりと分析を行うために注意すべきポイントとは何でしょうか。以下では、これらのポイントを詳しく解説します。
なぜSWOT分析を効果的に行うための注意点とヒントが重要なのでしょうか?以下では、次のポイントについて解説していきます。
- 3-1:バイアスの排除
- 3-2:継続的な更新
- 3-3:結果の具体的な活用方法
3-1:バイアスの排除
新規事業のSWOT分析で重要なのは、バイアスの排除です。SWOT分析は一見、客観的な評価が行えるツールに見えますが、分析の結果は分析を行う人の視点に大きく左右されます。この視点を一定の偏りのないもの、つまりバイアスのないものにすることが肝要となります。
では、具体的にバイアスを排除するためには、どのようなアクションを取るべきでしょうか。
まず、多角的な視点を持つことが重要となります。一つの視点だけで事業を評価すると、見えるものだけに偏った評価をしてしまう可能性があります。多くの人からの意見を聞くことで、自身の視野が狭くなるのを防ぎます。具体的な方法として、多種多様な社内スタッフ、または外部の第三者からも意見を集めることが効果的です。
また、定性的な評価と定量的な評価を組み合わせることも、バイアスを排除するための手段の一つです。定性的な評価だけでは、自身の価値観や経験によるバイアスが入り込む可能性があるため、客観性のある定量的な評価でバランスを取ることが重要です。たとえば、市場の規模や成長性、競合他社の動向などは定量的に評価できる要素です。
さらに、定期的な見直しを行うこともバイアスを排除する上で重要な行為です。一度SWOT分析を行ったからといって、それが絶対的な評価ではありません。市場環境や社内環境は常に変化します。それに対応するためにも、定期的な見直しを行うことで、新たなバイアスが入り込むのを防ぐことができます。
以上のことを心がけることで、バイアスを排除し、より効果的なSWOT分析が可能になります。新規事業の成功に向けて、バイアスのない視点で事業を見つめ直しましょう。
3-2:継続的な更新
新規事業を展開する際に行うSWOT分析ですが、一度行ったからといって完了ではありません。なぜなら、社外環境や社内環境は常に変化するからです。したがって、SWOT分析は継続的に更新する必要があります。以下では、その具体的な方法とその重要性について詳細に述べていきます。
まずSWOT分析を定期的に見直すことが必須です。具体的な期間は一概には言えませんが、新規事業のフォローや業界の動向に応じて、3ヶ月や6ヶ月ごとなどのタイミングで行うと良いでしょう。この見直しによって、事業環境の変化に対応するための新たな強みや機会を見つけ出したり、新たな弱みや脅威を早期に対応するための戦略を策定することができます。
さらに、この見直しの際には新たな視点を持つことも重要です。例えば、初回のSWOT分析では見つけられなかった内部や外部の要素に気づくことができるかもしれません。それを見つけるためには、他部署の意見を取り入れたり、外部の専門家からフィードバックを得たりする方法があります。
また、一つの業界や事業だけでなく、他の業界や事業の動向も見てみると、新たな視点が得られます。他業界で成功している戦略が、自分たちの事業にも応用できるかもしれません。そのためには、業務範囲を超えて広く情報を集めるのが必要です。
但し、ここで注意すべき点は、SWOT分析の更新は変化を捉えるためのものであり、一度策定した戦略を頻繁に変えるべきではないということです。頻繁に戦略を変えてしまうと、戦略のコミットメントが得られず、組織の混乱を招く可能性があります。
継続的な更新は、新規事業が継続的に成長を遂げるために必要な活動です。そのための理由や方法を理解し、適切に行なっていくことが要となります。
3-3:結果の具体的な活用方法
新規事業のSWOT分析を行った結果は単なる情報の集合でなく、具体的な行動に繋げなければ意味がありません。では、どのようにSWOT分析の結果を具体的に活用すればよいのでしょうか。
まず、SWOT分析から得られた情報を基に、具体的な戦略を策定します。企業の強みを活かし、弱みを補い、機会をつかみ、そして脅威を回避するという、4つの要素に基づいた具体的な行動計画を立てることが必要です。
例えば、ある企業が新薬の開発を行う新規事業を立ち上げたとします。強みとしては、すでに薬品に関する専門の研究者を多数抱えていること、弱みは開発に多大なコストがかかること、機会は未だ治療薬が見つからない疾患への対応、脅威は規制強化や競合による新薬開発の可能性などがあげられます。これらの情報から、例えば強みの活用と弱みの補填を具体的な戦略として策定。戦略としては、研究者が開発している新薬が治療が難しい疾患への対応可能な新薬であることを強調し、コストの問題は薬価制度を活用することで緩和するといった具体策が考えられます。
次に、これらの戦略を組織全体で共有し行動に移すことで、SWOT分析の結果は具体的に活用されます。これは、経営層だけでなく、すべての関係者が理解し、具体的に行動を変える必要があるためです。戦略を共有するためには、結果を視覚的に分かりやすくすることや、全体会議を設けて説明するなどの工夫が必要となります。
最後に、策定した戦略の効果を定期的に検証し、必要に応じて修正を行うことで、SWOT分析の結果を継続的に活用します。これにより、戦略が状況の変化に対応できるようになります。
これら3つのステップが、SWOT分析の結果を具体的に活用する方法となります。新規事業を成功に導くためには、SWOT分析の結果を具体的に行動に落とし込むことが重要です。
まとめ:新規事業成功への一歩、SWOT分析の活用
SWOT分析は新規事業の立ち上げや、事業の拡大、さらにはイノベーションの創出に有効なツールであり、その成功には欠かせません。以下では、SWOT分析の活用によって新規事業の成功へと導くためのポイントをまとめて参ります。
まず重要なのは、SWOT分析は一度きりのツールではなく、新規事業の各フェーズで繰り返し行うべきツールであるという認識です。環境は常に変化しますので、その変化を捉え、事業の強み、弱み、機会、脅威を常に見直し、更新しながら戦略を練るべきです。
次に、SWOT分析の結果を具体的な戦略に落とし込むためには、それぞれの要素がどのように事業に影響を与えるかを具体的に検討することが必要です。具体的なアクションプランを設定し、それを実行することで、分析結果は具体的な成果につながります。
さらに、全員参加のSWOT分析が有効です。新規事業の成功は、それを遂行するチーム全体の視点の多様性やアイデアの豊かさが活かせるかによる部分も大きく、そのためには、チーム全員が参加するSWOT分析が有効です。
最後に、SWOT分析の結果を強みを活かし、弱みを補い、機会を掴み、脅威に立ち向かうための具体的な戦略や実行プランを立てることが重要です。戦略は明確に定め、それに基づく行動を繰り返すことで、新規事業は成功へと向かいます。
SWOT分析は新規事業を成功に導く有効な手段です。しかし、上手に活用するためには、その分析結果をどのように戦略に落とし込み、実行するかが鍵となります。ぜひ、新規事業の立ち上げや運営の際には、今回ご紹介したポイントを参考に、SWOT分析を上手に活用してみてください。
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