目次
はじめに:新規事業のSWOT分析の重要性について
新規事業の展開は、企業成長の鍵となる一方で、企業リソースを大きく投資しなければなりません。その成功と失敗が企業の成長、時には存続に直結します。新規事業展開にあたって、その成功をより確実なものとするために広く利用されているのが、SWOT分析という手法です。
このコラムでは、SWOT分析の基本的な活用方法から実際の事例まで、詳しく解説します。
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SWOT分析の基本的な手法とは
新規事業を立ち上げ成功させるには、「SWOT分析」が重要な役割を果たします。「SWOT分析」とは、組織が現在置かれている状況を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から総合的に理解し、それをもとに行動計画を策定する戦略分析手法です。
以下では、それぞれの要素について具体的に解説します。
- 強み(Strength)の抽出と活用方法
- 弱み(Weakness)の認識と緩和策
- 機会(Opportunity)の発見と活用方法
- 脅威(Threat)の把握と対策方針
強み(Strength)の抽出と活用方法
SWOT分析における「強み(Strength)」とは、企業が持つ相対的な優位性のことです。つまり、他の競合他社が持たない、一歩リードしている要素を指します。
まず、強みを抽き出すためには、内部環境分析が有効です。具体的には以下のような視点での分析が考えられます。
- 企業が独自に持つ知識・技術
- 認知度・ブランドイメージ
- 販売チャネル・ネットワーク
- 経営資源(資本、人材など)
これらは、自社が持つ強みであると同時に、新規事業の成功に寄与する重要な要素です。特に、他社では模倣が難しい経営資源は、競争優位の源泉となり得ます。抽出した強みは、新規事業の企画・具体化に活用しましょう。
具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 自社の強みを活かす事業領域の選定
- 強みを活かす具体的なサービスや商品の企画
- 強みを最大限に活かすための戦略策定(マーケティング戦略、販売戦略など)
例えば、強い技術力を持つ企業が新規事業を考える場合、自社の技術力を最大限に活用できる事業領域を選定し、その技術力を活かした独自の商品やサービスを企画します。また、その商品やサービスが市場で認知され、自社の強みが消費者に理解されるようなマーケティング戦略を策定することも重要です。
このように、自社の強みを明確に認識し、その強みを最大限に活かす方向で事業計画を立てることが、新規事業成功の一歩となります。明確な強みが自社の「競争力」に直結するからです。
弱み(Weakness)の認識と緩和策
新規事業におけるSWOT分析の一部として、「弱み(Weakness)」の認識と緩和策を理解し、適切に対応することは非常に重要です。
まず、「弱み(Weakness)」を認識するためには、自社の内部要因を明確に把握しなければなりません。これには、以下のような視点が求められます。
- 自社の財務状況
- 製品の品質
- 経営陣の経験とスキル
- 社員のスキルと士気
- ビジネスモデルの弱点
弱みは自社が把握している内部要因によって導き出されます。だからこそ、これらの要因を見つめ直すことは、新規事業を成功させるための重要な一歩となるのです。では、具体的に弱みを認識し、その緩和策を策定するためには、どのようなステップを踏むべきなのでしょうか。
- Step1:弱みの特定自社が直面している問題や課題をビジネスモデルの視点から明確に特定しましょう。特定する方法としては、一部の社員にビジネスモデルや業務の状況についてフィードバックを求める、顧客や流通パートナーからのフィードバックを有益な情報として活用するなどがあります。
- Step2:弱みの評価と分析
特定された弱みを評価し、その重要度や直接性を分析しましょう。この過程で特定した弱みが事業にどのような影響を及ぼすのか、どの程度のリソースを費やすことで解決可能なのかを明確にします。
- Step3:緩和策の策定
弱みを解決する策を練りましょう。この際、重要なのは、緩和策が実行可能かつ特定の弱みを解決できる効果が確実にあることです。
弱みの認識と緩和策はビジネスを強化し、競争優位性を維持するために重要な要素です。安易に見過ごすことなくしっかりと対応を練れば、新規事業の成功に繋げられます。
機会(Opportunity)の発見と活用方法
新規事業では、「機会(Opportunity)」の発見が不可欠です。絶えず変化する市場状況の中で、自社が活かせるチャンスを見つけ出し、うまく活用することが事業成功の鍵となるからです。
機会を見つけるためには、まず市場全体のトレンドを見ましょう。例えば、近年の消費者行動の変化、新たな技術の進化、法令の変更などがあります。これらの動きに敏感であれば、新規事業における新たなチャンスを見つけられるはずです。
では、発見した機会をどうやって活用すべきなのでしょうか。方法の一つに、機会を直接事業の強みに変えることがあります。例えば、新たな技術や市場が新規事業に合ったものであれば、それを活かした事業展開は必然的にトレンドを押さえたものになるため、強みになりやすいでしょう。
また、機会の活用は、強みを活かすと同時に、弱みを補う手段にもなるでしょう。例えば、自社の弱みが市場からの競争圧力である場合、新規市場への参入や事業の多角化により、競争から距離を置くことも可能です。
しかし、機会を活用するためには注意すべきこともあります。機会が永遠に続くわけではないということです。市場は絶えず変動し、今あるチャンスがすぐになくなることもあります。したがって、機会を見つけたときは迅速に行動しましょう。また、全ての機会が自社にとってプラスになるわけではないということです。機会を選択するときには、多角的に考えなければなりません。
新規事業における機会の発見と活用においては、市場の変動に敏感であること、チャンスを発見したら迅速に行動に移すこと、そして全ての機会が自社にとってプラスになるわけではないという視点を持つことが重要です。
これらを心がければ、新規事業の成功に繋がる機会を見つけ、活用できるようになるでしょう。
脅威(Threat)の把握と対策方針
新規事業において起こり得る「脅威(Threat)」は、その事業の成功を阻む可能性のある外部からの要因です。倫理規定の変更、新たな競合の出現、経済の変動などがそれにあたります。脅威は事業にとって大きな壁であり、把握することが成功への道筋を描くためには欠かせません。
脅威の把握
新規事業推進にあたり、まずは可能な限り詳細に脅威を把握しましょう。脅威の把握には、業界の動向、競合分析、顧客動向の分析など、極めて広範で深い視野が必要です。これらのデータは、市場調査、フィールド調査、顧客インタビュー、ネット調査など、多岐にわたる方法で入手できます。
対策方針の策定
脅威を把握したら、次はそれにどのように対処するか、対策方針を策定しましょう。業界や市場環境が急激に変化する中、脅威に対する対策はフレキシブルかつスピーディーに行わなければなりません。具体的な対策としては、新技術の導入や事業領域の拡大、競合との協業などがあります。
- 新技術の導入
新たな技術を導入することで、競合との差別化や競争力の強化が可能です。例えば、AIやブロックチェーンを自社の事業に取り入れるなどが考えられます。 - 事業領域の拡大
一部の競争が激しい分野とは別分野に事業を拡大し、リスクを分散する手法があります。関連する新市場への進出や、ビジネスモデルの多角化などがその例です。 - 競合との協業
競合との協業により、市場での競争を緩和しつつ、リソースを共有することで効率的な事業展開を図れます。
新規事業に取り組む際には、これらの対策を適切に行えば、脅威をチャンスに転化することも可能です。それにより、事業の成功の可能性を高められるでしょう。
新規事業におけるSWOT分析の具体的な活用事例
SWOT分析の具体的な活用例から得られる知見は、新規事業の戦略研究や計画立案、適用のプロセスにおいて非常に役立つはずです。
以下では、SWOT分析の事例を紹介します。
- 成功事例とその分析方法
- 失敗事例とその教訓
- SWOT分析による戦略策定のポイント
成功事例とその分析方法
ここでは、過去に新規事業展開に成功したあるIT企業の事例を取り上げます。IT企業の新規事業として、「AIを活用したビジネス最適化サービス」を展開した際のSWOT分析は以下です。
- 強み(Strength)
独自のAIを活用し、ビジネスプロセスを自動化・最適化することで、競争力を確保しました。 - 弱み(Weakness)
しかし、新技術の導入にあたりハード・ソフト両面での大規模な設備投資と、専門スタッフの確保がネックとなりました。 - 機会(Opportunity)
業界のデジタル化が急速に進み、企業の業績改善に導く手段としてAIの活用が注目を集めていました。 - 脅威(Threat)
しかし、競合他社もまたAIを活用した新規事業を進めており、競争が激化していました。
このように分析した結果を活用し、具体的な戦略として以下を行ったことが成功に繋がったのです。
- 強みと機会を組み合わせた戦略の展開
AIを活用したビジネスの自動化・最適化ソリューションが注目を集めている状況という機会を掴み、自社の技術力を活用して競争力を確保しました。 - 弱みと脅威への具体的な対策の考案
新技術の導入にあたり必要な大規模投資に対しては、短期的にはリスクを緩和するためにパートナーシップを組みました。また、競争激化に対しては、自社のAI技術の特長を強くPRし、市場での優位性を確保したのです。
失敗事例とその教訓
新規事業を進める上では、SWOT分析が適切に行われなかった結果、失敗に終わった事例を挙げて、その教訓を深く理解することも大切です。
ある企業が、既存業界に新規進出を試みたものの、市場規模が大きく競争が激しいことを「脅威」に位置づけず、「機会」であると誤解してしまいました。結果として、市場競争に敗れ、事業は早期撤退を余儀なくされたのです。
この事例から学べる教訓は、市場規模だけでなく、その市場での競争環境もしっかりと「脅威」の視点で評価すべきということです。また、新規事業の開始前に、競合他社の事業展開や業界全体の動向を詳細に把握し、堅実な計画を立てることも重要でしょう。
もう一つの事例として、存在する「弱み」を認識しつつも、他社との競争に対する自社の「強み」に過度に自信を持ち、「弱み」を緩和するための対策を蔑ろにした場合があります。この結果、「弱み」が露呈した際に対抗策がなく、新規事業は悲観的な結末に終わりました。
この事例から学べる教訓は、「強み」の存在は事業を前進させるための武器と捉えてはいけないことです。「弱み」があることを認識した上で、「強み」を十分に活かしつつ、逐一「弱み」の改善に取り組むことが、新規事業の課題解決に繋がります。
SWOT分析による戦略策定のポイント
新規事業へのSWOT分析の結果を、戦略策定に活用する上での重要なポイントを解説します。SWOT分析を徹底的に活用すれば、新規事業の戦略策定はより精緻で結果を出しやすいものになるでしょう。
全体のバランスを視野に入れる
視野に入れるべき点は、各要素を単独で見るのではなく、全体のバランスを見ることです。強みや機会がそのまま強化策や機会活用策に結びつくとは限りません。したがって、それらを考慮した上で、全体バランスを見つつ有効な戦略を策定しなければならないのです。
弱みと脅威に対する対策を考える
SWOT分析において、弱みと脅威はビジネス上のリスク要素となります。それらへの対策を考え、リスクを低減化しビジネスの成長を促進しなければなりません。具体的な弱みへの対策には、内部強化策が有効です。一方、脅威への対策には、市場環境の変化に対する機敏な対応が必要となります。
有効な戦略の策定の流れ
具体的な戦略策定の流れを見ていきましょう。
- 分析結果の優先順位を決定する
- 戦略の具体策を策定し、リソースの配分を決定する
- 各戦略がビジネスの目標と整合性が合うかを再確認する
- 戦略の実行と評価を行い、必要に応じて修正や再調整する
これらのポイントを押さえれば、SWOT分析による戦略策定がより緻密に行えるようになるでしょう。
SWOT分析を効果的に行うための注意点とヒント
SWOT分析は新規事業の成功の鍵を握る重要なツールですが、その効果的な活用法とは何でしょうか。
以下では、これらのポイントを詳しく解説します。
- バイアスの排除
- 継続的な更新
- 結果の具体的な活用方法
バイアスの排除
新規事業のSWOT分析で重要なのは、バイアスの排除です。SWOT分析は一見、客観的な評価が行えるツールに見えますが、分析の結果は分析を行う人の視点に大きく左右されます。この視点を一定の偏りのないもの、つまりバイアスのないものにしなければなりません。
まず、多角的な視点を持つことが重要です。一つの視点から事業を評価すると、見えるものだけに偏った評価をしてしまうかもしれません。そのため、多くの人から意見を聞き、自身の視野が狭くなるのを防ぎましょう。具体的な方法として、多種多様な社内スタッフ、または外部の第三者からも意見を集めることが効果的です。
また、定性的な評価と定量的な評価を組み合わせることも、バイアスを排除する手段の一つです。定性的な評価だけでは、自身の価値観や経験によるバイアスが入り込む可能性があるため、客観性のある定量的な評価でバランスを取りましょう。例えば、市場の規模や成長性、競合他社の動向などは定量的に評価できる要素です。
以上のことを心がければ、バイアスが排除でき、より効果的なSWOT分析が可能になります。新規事業の成功に向けて、バイアスのない視点で事業を見つめ直しましょう。
継続的な更新
新規事業を展開する際に行うSWOT分析ですが、一度行ったからといって完了ではありません。なぜなら、社外環境や社内環境は常に変化するからです。したがって、SWOT分析は継続的に更新する必要があります。
まず、SWOT分析を定期的に見直すことが必須です。具体的な期間は一概には言えませんが、新規事業のフォローや業界の動向に応じて、3ヶ月や6ヶ月ごとなどのタイミングで行うと良いでしょう。この見直しによって、事業環境の変化に対応するための新たな強みや機会を見つけ出したり、新たな弱みや脅威に早期に対応するための戦略を策定できます。
さらに、この見直しの際には新たな視点を持つことも重要です。例えば、初回のSWOT分析では見つけられなかった内部や外部の要素に気づけるかもしれません。それを見つけるためには、他部署の意見を取り入れたり、外部の専門家からフィードバックを得る方法があります。
また、一つの業界や事業だけでなく、他の業界や事業の動向も見てみると、新たな視点が得られるでしょう。他業界で成功している戦略が、自社の事業にも応用できるかもしれません。そのためには、業務範囲を超えて広く情報を集める必要があります。
ただし、ここで注意すべき点は、SWOT分析の更新は変化を捉えるためのものであり、一度策定した戦略は頻繁に変えるべきではないということです。頻繁に戦略を変えてしまうと、戦略のコミットメントが得られず、組織の混乱を招いてしまうかもしれません。
継続的な更新は、新規事業が継続的に成長を遂げるために必要な活動です。そのための理由や方法を理解し、適切に行なっていくことが要となります。
結果の具体的な活用方法
新規事業のSWOT分析を行った結果は単なる情報の集合でなく、具体的な行動に繋げなければ意味がありません。では、どのようにSWOT分析の結果を活用すればよいのでしょうか。
まず、SWOT分析から得られた情報をもとに、具体的な戦略を策定しましょう。企業の強みを活かし、弱みを補い、機会を掴み、そして脅威を回避するという、4つの要素に基づいた具体的な行動計画を立てる必要があります。
例えば、ある企業が新薬の開発を行う新規事業を立ち上げたとしましょう。強みとしては、既に薬品に関する専門の研究者を多数抱えていること、弱みは開発に多大なコストがかかること、機会は未だ治療薬が見つからない疾患への対応、脅威は規制強化や競合による新薬開発の可能性などが挙げられます。これらの情報から、強みの活用と弱みの補填が戦略として策定できます。
具体的には、研究者が開発している新薬が治療が難しい疾患への対応可能な新薬であることを強調しながら、コストの問題は薬価制度を活用して緩和するといった戦略です。
次に、これらの戦略を組織全体で共有し行動に移すことで、SWOT分析の結果をしっかりと活用できます。経営層だけでなく、全ての関係者が理解し、具体的に行動を変えなければなりません。戦略を共有するためには、結果を視覚的に分かりやすくすることや、全体会議を設けて説明するなどの工夫が必要となります。
最後に、策定した戦略の効果を定期的に検証し、必要に応じて修正を行って、SWOT分析の結果を継続的に活用しましょう。これにより、戦略が状況の変化に対応できるようになります。
以上3つのステップが、SWOT分析の結果を活用する具体的な方法です。新規事業を成功に導くためには、SWOT分析の結果を具体的に行動に落とし込まなければなりません。
まとめ:新規事業成功への一歩、SWOT分析の活用
SWOT分析は新規事業を成功に導く有効な手段です。しかし、上手に活用するためには、その分析結果をどのように戦略に落とし込み、実行するかが鍵となります。新規事業の立ち上げや運営の際には、SWOT分析を上手に活用しましょう。
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