新規事業コンサル

新規事業におけるプロジェクト管理の鍵:WBSを最適に活用する方法

はじめに

新規事業を推進する上で、プロジェクト管理は欠かせない要素です。特に、WBS(Work Breakdown Structure)を活用したプロジェクト管理は、事業成功への鍵を握ります。本コラムでは、新規事業においてWBSが重要な役割を果たす理由と、効果的なWBSの手法や使い方を解説します。

尚、弊社では新規事業のコンサルティング支援サービスを行っております。新規事業に関してお困りの事があれば、お気軽にご連絡ください。

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1: 新規事業におけるWBSの基本概念

1-1: WBSとは何か?

WBSとは、ワーク・ブレークダウン・ストラクチャーの略称です。プロジェクトの全ての作業を小さな単位に分解し、それぞれを階層構造で整理した方法です。これにより、プロジェクトの全体像を正確に把握することができます。WBSを策定することで、各タスクの進捗状況を把握し、リソース管理やスケジュール調整が容易になります。WBSを作成するためには、プロジェクトを細かなタスクに分解し、ツリーダイアグラムを作成することが一般的です。WBSは、新規事業立ち上げにおいても非常に重要であり、チーム全体がプロジェクト進捗について共通認識を持つために必要不可欠です。WBSを作成することによって、新規事業のスムーズな進行に役立つだけでなく、新規事業立ち上げにおける課題やリスクの洗い出しにもつながります。

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1-2: WBSの目的

WBSは、新規事業を分割し、それぞれのタスクや作業の詳細を定義することで、以下の目的を達成します。

  • プロジェクト全体像の把握:WBSは、新規事業に必要な作業を細かく分解することにより、全体像を見渡すことができます。それにより、プロジェクトリーダーや関係者は工程やスケジュール管理を正確に行うことができます。
  • 各タスクの進捗状況の確認:WBSには、各タスクの進捗状況を確認するためのマイルストーン(重要な節目)が設定されます。そのため、プロジェクトの進捗状況を把握することができます。
  • リソース管理の最適化:WBSには、各タスクを完了するために必要なリソース(人員、予算、機器など)が洗い出されます。それにより、予算やスケジュールに基づいて、リソースの最適化が図れます。
  • ステークホルダー間のコミュニケーションの円滑化:WBSは、すべてのタスクや作業が明確に定義されるため、関係者間の不確実性を排除し、プロジェクト進行を円滑に進めることができます。

1-3: WBSの構成要素

WBSは、プロジェクトを細かな作業に分割し、プロジェクトの全体像を明確にするためのツールです。以下は、WBSの構成要素です。

  • トップレベルの要素:プロジェクト全体を表す要素で、プロジェクト全体の目的や目標を定めます。
  • 中間レベルの要素(作業パッケージ):トップレベルの要素をさらに細分化した要素で、プロジェクトを実現するために必要な作業をグループ化します。
  • 最下位レベルの要素(タスク):中間レベルの要素をさらに細分化した要素で、具体的な作業単位を表します。タスクは、担当者や期日などの詳細な情報が含まれます。

WBSは、プロジェクト全体を一望できるようにするために大切な構成要素です。プロジェクトの進捗状況を把握し、課題に対処する際には、適切なWBSを作成し、柔軟かつ的確に対応することが求められます。

1-4: 新規事業とWBSの関連性

新規事業を行う場合、市場や技術の変化に伴い、不確実性やリスクが伴います。そのため、プロジェクトを効果的に進めるためにプロジェクトマネジメントが重要となります。WBSは、プロジェクトの全体像を把握し、進捗管理やリソース管理を効率的に行うことができます。プロジェクトの目標やスケジュール、リソースの予測、課題の特定などに役立ち、プロジェクトを成功に導きます。しかし、WBS作成の過程で何が必要であるかを明確化する必要があるため、事前に情報収集や分析が不可欠です。また、プロジェクトの進捗管理は、WBSの枠組みで行われるため、WBSの更新や変更が必要な場合には迅速かつ適切に対応する必要があります。新規事業ではWBSを使用することで、プロジェクトマネジメントの高度化が図れ、成功確率を高めることができます。

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2: 新規事業におけるWBSの重要性

2-1: プロジェクト管理におけるWBSの役割

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトを細分化することで、全体像を把握しやすくするツールです。新規事業においては、プロジェクトの方向性や市場動向が変化することが予測されるため、WBSを使ってプロジェクト管理を行うことが重要です。

WBSを作成することで、プロジェクトの全体像を明確にし、各作業の範囲や完了時期、担当者を決定することができます。これにより、プロジェクト内の作業の進捗や課題を把握し、計画を適宜調整することができます。

WBSはプロジェクトマネージャーが作成を行い、プロジェクトメンバーに共有することで、プロジェクトの全体像を共有し、プロジェクト全体の方向性を固めることができます。

2-1-1: WBSの作成プロセス

WBSを作成するには、以下のプロセスを踏みます。

1: プロジェクトの全体像を明確にし、目的や成果物を定義する。
2: 目的や成果物を細分化し、ブロックごとに作業項目を洗い出す。
3: 作業項目に対して、責任者や担当期間、予算を割り当てる。
4: 作業項目を階層的に整理・整頓し、WBSを作成する。
5: WBSをプロジェクトメンバーに共有し、プロジェクト進行管理を行う。

2-1-2: WBSの活用方法

WBSを活用することで、以下のようなメリットがあります。

1: プロジェクトマネージャーが全体像を把握しやすくする。
2: 各作業の範囲や完了時期、担当者を決定することができる。
3: 作業の進捗や課題を把握し、計画の適宜調整ができる。
4: プロジェクトメンバーがタスクの優先度を理解しやすくする。
5: プロジェクトメンバーが目標を共有し、協力して仕事を進めることができる。

WBSは新規事業を展開する上で、プロジェクトの全体像を把握するうえで欠かせないツールであり、適切に活用することでプロジェクトの成功につながります。

2-2: 新規事業のリスク管理とWBS

新規事業には、市場や技術の不確実性が高く、リスクも大きいという難しさがあります。WBSを活用することで、プロジェクト全体のリスクを把握し、適切なリスク対策を立てることができます。WBSによって、プロジェクトの各作業を細かく分解し、それぞれに対応するリスクを洗い出すことができます。また、リスクの発生率や影響度を評価し、それに応じた予算やスケジュールの確保、備えるべきリスク管理手法の決定、リスク対策実行のプロセスや責任者の決定といった対策を計画することが必要です。WBSによって、プロジェクトのリスク管理を正確に把握することができるため、リスクをコントロールし、プロジェクトの成功に向けて最適な対策が取れるようになります。 WBSを活用することで、リスク対策計画を一元化し、複雑化するプロジェクト監視やプロジェクトマネジメントをよりスムーズに行うことができます。

2-3: コミュニケーションの円滑化

新規事業において、多くのステークホルダーが関与します。例えば、経営陣、顧客、取引先、従業員、テクノロジーベンダーなどです。各ステークホルダーは、自身の期待や要件を持っています。WBSを使用することで、進捗状況やリソースの状況を可視化することができます。このような状況下では、WBSがステークホルダー間のコミュニケーションを円滑にすることができます。例えば、スケジュール上の遅れを早期に把握することで、経営陣と従業員が責任を共有することができ、プロジェクト全体の成功につながります。WBSを利用することで、全体の方向性を共有し、ステークホルダー同士の認識差を解消するメリットがあります。 加えて、プロジェクトに携わる全員が、プロジェクトの全体像を把握できるようになるため、行動のバリエーションが増え、プロジェクトのスピードアップにつながります。

2-4: 予算管理とWBSの関連性

WBSを用いて、新規事業のプロジェクトをタスク単位に分割し、それぞれに予算を割り当てることで、コストマネジメントがしやすくなります。WBSは、予算管理のための基盤となる重要なツールです。WBSを作成する際には、予算管理に必要なリソースを正確に特定し、コストを見積もることが重要です。タスクの分割が細かすぎたり、見積もりが適切でない場合、予算超過やプロジェクト遅延のリスクが高まります。したがって、WBSを作成する際には、プロジェクトマネージャーがリソースを正確に把握し、見積もりを適切に行うことが重要です。適切な予算管理は、新規事業のコスト効率を高め、事業の成功につながります。

2-5: 成果物の品質管理

WBSによって、各タスクに必要な成果物の品質を詳細に定義し、品質の基準を明確にすることができます。各タスクが完了した後、成果物を徹底的に品質チェックし、問題があれば速やかに改善・修正を行います。特に、顧客にとって重要な成果物であるマーケティングプランやプロモーションツールなどは、品質に対する要求が非常に高く、十分な品質管理が必要です。品質管理が徹底されることで、不良品や不備品を出荷することを防止し、顧客満足度の向上につながります。さらに、品質管理の徹底によって、新規事業の成功確率が向上すると同時に、削減コストの観点からも有利になります。

3: 効果的なWBSの作成・活用方法

3-1: 新規事業の目標とWBSの整合性を確保する

新規事業の目標とWBSの整合性を確保することは、プロジェクトの成果物とタスクが一致するように調整することです。プロジェクトの目標を確認し、WBSに反映させることで、プロジェクト全体像が明確になり、進捗状況や課題解決の優先順位も明確になります。また、効果的なプロジェクト管理が実現できます。WBSを作成する際には、目標達成のための具体的なタスクやステップを洗い出し、優先順位を設定し、タイムラインを作成することが必要です。WBSは、プロジェクト成果物を達成するために実行する必要があるすべての作業についての明確なイメージを与えます。 新規事業が成功するためには、プロジェクトの全体像を明確に把握することが欠かせません。

3-2: 適切な粒度でタスクを分割する

WBSでタスクを分割する際は、細分化の粒度が重要です。タスクを細く分割し過ぎると、タスク管理が煩雑化する場合があります。一方、タスクを大きくまとめすぎると、タスクの進捗状況を明確に把握しにくくなることがあります。適切な粒度でタスクを分割することにより、各タスクの進捗状況やリソースの管理が容易になります。具体的には、各タスクを完了できる程度の期間と費用を考慮し、適切なレベルに分割することが求められます。また、タスクを分割する際には、それぞれのタスクが全体の目標達成に貢献しているかを確認することも重要です。 タスクが分割しやすいように、一定のレベルまで前提条件も整えておくことが望ましいでしょう。

3-3: 進捗管理とWBSの連携

進捗管理とWBSを連携させることで、プロジェクト全体の進捗状況を効果的に把握することができます。WBSに基づいたタスク管理を進捗管理ツールに反映させ、各タスクの状況をリアルタイムで把握することができます。

また、WBSと進捗管理ツールを連携させることで、プロジェクトの進捗状況だけでなく、リスク管理や品質管理などプロジェクト管理全般の観点からもタスクの進捗状況を確認することができます。これにより、必要に応じてプロジェクトの優先順位を変更したり、適切なタスク調整が可能になります。

WBSと進捗管理の連携は、プロジェクト管理者にとって必要不可欠な機能です。プロジェクト全体の進捗状況を把握し、効率的なプロジェクト遂行を実現するために、積極的に活用していきましょう。

3-4: ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にするためのWBSの活用

WBSをプロジェクト全体の構造を示すために使用することで、ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にすることができます。ステークホルダーがプロジェクトの全体像を把握しやすくなるため、適切な意思決定が行いやすくなります。

WBSを活用することで、ステークホルダーに進捗状況やリソース状況などを共有することができます。このことにより、プロジェクトの状況を透明化し、ステークホルダー間での情報共有をスムーズに行うことができます。

定期的にステークホルダーと進捗やリソース状況を共有することは、プロジェクトの成功に不可欠です。WBSを活用した情報共有は、プロジェクト全体に影響を与える重要な決定を行うための有用なツールとなります。

3-5: WBSを用いたリソース管理の最適化

WBSを詳細に作成することで、新規事業のプロジェクト全体のリソース状況を正確に把握することができます。このツールを使うことで、リソースの種類や数量に基づいて適切な配分が可能になり、新規事業の成功確率が高まります。また、WBSを用いれば、リソースが必要な時期に必要な場所に届けられ、無駄なリソース配分を回避できます。WBSを正しく活用することで、リソースの効率的な活用が図られ、新規事業の推進がスムーズに進みます。WBSはプロジェクトの全体最適化に必要なツールですので、十分に利用して新規事業の成功を目指しましょう。

3-6: WBSの見直しとアップデート

新規事業の状況は常に変化しているため、定期的にWBS(Work Breakdown Structure)の見直しとアップデートが必要です。WBSの見直しにより、プロジェクトの進捗状況を正確に把握し、計画の調整ができます。WBSのアップデートは、以下のような項目を更新することが必要です。

  • タスクの追加、変更、削除
  • 各タスクの詳細情報の更新(責任者、期日、進捗状況等)
  • マイルストーンの確認
  • 依存関係の見直し
  • リソースの調整

また、WBSのアップデートには、関係者とのコミュニケーションが欠かせません。関係者との定期的な報告や打ち合わせを通じて、WBSのアップデート内容を共有し、プロジェクト全体の進捗状況を調整することが重要です。WBSの見直しとアップデートを行うことで、常に最新の情報でプロジェクトを運営することができます。

新規事業の運営についてもっと詳しく知りたい方は、以下を御覧ください↓

新規事業の効果的な運営:PMOの実践的ガイドラインとツール

まとめ

新規事業におけるプロジェクト管理の鍵であるWBSは、プロジェクトの全体像の把握、進捗管理、リソース管理、リスク管理、コミュニケーションの円滑化、予算管理、品質管理において大きな役割を果たします。効果的なWBSの作成・活用方法を理解し、新規事業の成功に向けて適切なプロジェクト管理を行いましょう。

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