目次
- ビジネスモデルの種類をシンプルにする背景
- 本題の前にビジネスニュースアプリINFOHUB のPR
- そもそも、ビジネスモデルの定義とは何か?
- なぜ、ビジネスモデルをパターンに抽象化して(落とし込んで)考えるのか?
- 結論:ビジネスモデルの種類は3パターンに集約できる
- ①資産をお金に変える パターンのビジネスモデル
- ②もの・サービスを取引し、差益を生む パターンのビジネスモデル
- ③人を集めて送客し、手数料を得る パターンのビジネスモデル
- ビジネスモデルを厳密に定義することに囚われず、具体的なアクションをしよう
- ビジネスアイデア企画を通す・実行する上で必要な、人に伝えるためのビジネスモデルの考え方とは?
- ビジネスモデルジェネレーションに記載の5つのビジネスモデル一覧
- 3.マルチサイドプラットフォームビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
- 5.オープンビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
- 本記事のまとめ(ラップアップ)
ビジネスモデルの種類をシンプルにする背景
世の中には、ビジネスモデルが数多く存在しています。そもそも、「ビジネスモデル」という概念自体が曖昧なのに対して、いろんな人が様々なくくりを作るため、数多く存在してしまっているという問題があります。
ビジネス理解を促進させるための手段であるはずの「ビジネスモデル」が、数が多くなったことで複雑性を増してしまっていると私は考えます。
例外を考慮すればするほど細分化され、そうした方がより精緻になることは間違いないのですが、どこかのシステム開発のように肥大化し、複雑化し、もはや人がメンテ出来るものではなくなります。
また実は、複雑化させる方が簡単で、シンプルにする方が難しかったりします。
また、世の中のweb記事は文字数が多いほうがSEO上良い傾向もあることも、複雑化を助長している要因の一つのように思います。
多少の例外を無視してでも、よりシンプルにすることが世界にとって価値がある、というのが私の考えです。シンプルにすることで、理解が容易になり、具体的なアクションにも繋げやすいと考えます。
本記事では、「物事を究極にシンプルにすることでビジネスの本質に対する理解度を深める」ということに主眼を置き、整理をしたいと思います。
尚、弊社株式会社tryXのコンサルティングサービスでは、このように物事をシンプルに整理し本質を捉えるコンサルティングを得意としています。以下のコンサルティングサービスがありますので、お気軽にご相談ください。
ちなみに、以下のコラムでは逆に細かいパターンを知りたい方向けの記事です。興味のある方は以下も合わせてご覧ください↓
ビジネスモデル一覧の18種類を一挙ご紹介:今知っておくべきビジネスモデルとは?
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そもそも、ビジネスモデルの定義とは何か?
ビジネスモデルについての統一された定義はありませんが、ビジネスモデルについての統一された定義はありませんが、おそらくビジネスモデル関連で最も有名な書籍「Business Model Generation」p.14に記載されている、「ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるのかを論理的に記述したもの」がシンプルで信頼性も高く、わかりやすいのでこちらを利用したいと思います。
つまりビジネスモデルとは、①価値のつくり方 と、②その価値の届け方 に大きく分けられるということです。
なぜ、ビジネスモデルをパターンに抽象化して(落とし込んで)考えるのか?
ビジネスモデルとは、数多あるビジネスを抽象化してカテゴライズしたものです。ではなぜ、そのような抽象化を行うのでしょうか。
注意しなければならないのは、いちビジネスパーソンに対して「ビジネスモデルを調べてまとめる」といったタスクが落ちてきたときに、「整理してまとめる」だけを行って満足して終わり、となりがちだということです。
確かに、綺麗に分類できるととても気持ちよく、その場は分かった気になります。が、その資料はなんのアウトプットにも繋がらず、記憶にも残らず消えてしまいます。それでは自己満以外の何ものでもなく、全く価値がありません。
ビジネスモデルのパターン化を意味があるタスクとするには、「なぜパターン化を行うのか」、もっと言えば「パターン化を行った結果、何をしたいのか」という目的を明確にしておくことが極めて重要です。
ここから先はあなたの目的を明確化してから読み進めて頂けると、より意味が増します。
ビジネスモデルを使って何をしたいのか、の目的に関して筆者は大きく2つあると考えています。
- サービスの精度・クオリティを上げる、人にビジネス(アイデア)を理解してもらう
- サービスの勝ち筋を見つける
1. サービスの精度・クオリティを上げる、人にビジネス(アイデア)を理解してもらう
1に関しては、方法はいくつかありますが、弊社がオススメする方法としては同じカテゴリ内の別企業を調べ、自社との差異を見つけそのギャップを埋めていく作業です。
このときに有益なものとしては、アレックス・オスターワルダー博士らが開発した、「ビジネスモデルキャンバス」です。これは、9つの領域ごとに企業の活動を当てはめることで事業の全体像を見る事ができるツールです。
この各領域ごとに自社との差異を差分として見出します。この差分はただ単純な差分としてではなく、他社との優位性の観点で考えていくとより良いでしょう。
例えば、他社がオウンドメディアを運用していたとしても、それが上手くいっていない(例:記事の更新量や更新頻度が落ちているなど)のであれば、真似しても御社も失敗する可能性が高いということを示しています。他社が上手く活用できていることを真似ていくことが「負けない戦略」という観点では重要です。
その後、自社の戦略に照らし合わせて注力すべき差分の優先順位付けを行い、具体的な施策を検討していきます。
他社とのビジネスモデル上の差異に関しては例えば以下が考えられます。
- 他社が行っているマネタイズモデルは何か?(サブスクリプション?広告?)
- 顧客との接点としてどのようなタッチポイントを使っているのか?(SNSの活用度合いや、オウンドメディアなど)
・・・
これらを比較し、自社で取り入れていくべきものを探っていくことで、サービスの精度やクオリティを上げることが出来ます。
これはよく他の記事でも見かける話かと思います。
ただし注意点としては、これは攻めの戦略ではなく守りの戦略になりがちという事です。守りというのは、他社との競争に負けないために実施しなければならないものであり、決してそれをやるから勝てるというものではないという事です。これは成功事例を真似ているだけなので、競合との差を広げる事は難しいです。
ちなみに自社と離れた所から持ってくることで短期的には優位性を担保しやすくはなりますが、模倣難易度が高くない限りは他社にも真似されると考えるべきでしょう。
ただし1点、人に伝えるという点に関しては企画を通す上で避けられないテーマですので、後半でご説明します。
2.サービスの勝ち筋を見つける
本記事で注力したいのは、こちらです。
ビジネスモデルを抽象化することによって、全体としてどのような力が働いているのか、大きな方向性として何に注力していくべきかが見えてきます。
こちらは前記「サービスの精度・クオリティを上げる」と違い、中長期の戦略に紐付いてくる話であり、こちらの方が本質的には重要と考えています。
それは、大きな勝ち筋が見えた上で施策が紐づくべきであり、施策の積み上げの先に勝ち筋があるわけではないからです。確かに施策の積み上げで個々の数字は上がっていきますが、大事な幹の部分を見失ってしまうと一気に負けてしまいます。
以下は、中長期的な勝ち筋を見つけるという観点においてビジネスモデルを弊社にて集約した結果です。
OMO時代の今、②価値の届け方のパターンを分けることにどんな意味がありそうか。
前提としてパターン分けをすることに意味がないことは決してなく、時間とお金が無限にあるのであればやれば良いと思います。
が、いかに枝葉を落として幹を見るかが戦略論の本質です。
今や価値の届け方は様々ですし、そもそも1つに限られるということもほとんどありません。皆さんも一度はカスタマージャーニーを書いたことがあるのではないでしょうか。顧客とのタッチポイントが一つということはもはや全くありませんし、各企業によって異なるものが多いため、ここは単純なモデル化して分類(パターン分け)することに対して筆者は意味を見いだせません。
として今回は割愛します。
どう届けるのか、はもちろんとても重要なのですが、それをパターン分けして考えることに意味がほとんどないのではないか、ということです。パターン分けして顧客像がぼんやりしてしまうよりも、各企業ごともっと精緻に見ていくべき内容かと考えます。
ということで、以下は、①価値のつくり方 にフォーカスしてビジネスモデルをパターン化しております。
結論:ビジネスモデルの種類は3パターンに集約できる
早速結論です。①価値のつくり方 にフォーカスするとビジネスモデルは下記3パターンに集約できます。
- 資産をお金に変える
- もの・サービスを取引し、差益を生む
- 人を集めて送客し、手数料を得る
①資産をお金に変える パターンのビジネスモデル
これは会社が持っている資産をお金に変えるモデルです。特徴としては、その資源を使ってお金に変えても基本的にその資源はなくならないと言う点です(もちろん機械が痛むなど、多少の減損は生じます)。
具体的には資産と言うのは、以下が挙げられます。
※会計上の資産とは異なる意味合いで使っています。
- 機械(工場)
- 場所(土地)
- 人(マンパワー/頭脳)
- プログラム
- ライセンス・特許
- ブランド
最近流行りのSaaSもここに入ります。このように捉えると、SaaSはリアルな資産をデジタル化/アウトソース化していると捉えることができますよね。主には、人から、デジタルへの移行です。社内の人材を想像するのではなく、BPOなどを想像すると分かりやすいはずです。
補足:SaaSの例
- Salesforce (マネジメント/経営管理リソースをデジタル化)
- Dropbox(社内のサーバから、Dropboxのサーバへ)
- フリー/マネーフォワード(経理リソースをデジタル化)
- SmartHR(人事部リソースをデジタル化)
業界でいうと、例えば以下が該当します。
- 製造業界
- 不動産業界
- コンサルティング業界
- BPO業界
- Web業界
- ゲーム業界
- 物流業界
- アパレル業界
- (D2C業界)
GAFAMでいうと、「Apple」「Microsoft」がここにあたります。
このビジネスモデルのポイントとしては、以下が挙げられます。
- その資産がどの程度模倣が難しいものなのか
- どのぐらいの換金率なのか
- 維持コストはどのぐらいなのか
- スイッチングコストは高いか?
すごく当たり前ですが、模倣しにくいものの方が換金率は高くなり、ビジネスとしては優秀になります。
Appleは、ブランド価値が非常に高いので、利益率も高いです。
MicrosoftのOfficeは、Googleのスプレッドシートなどに代替され始めています。一方で特に大手企業を中心にスイッチングコストが高かったりします。(全員エクセル使っていると、変更しづらい)
ソフトウェアは模倣されやすいので表だけでは勝負しづらく、裏側のデータが主戦場になっていたりしますね。
このモデルはとにかく、「資産価値を高める」ことが重要です。そのためには、模倣されにくくすることが極めて重要です。
競争が激化すると、模倣出来るところはどんどん模倣されてしまうため、バイアスとしてはブランド強化に進むように思います。よって、このビジネスモデルにおいては「ブランド」を強化すべき、というのが筆者の考えです。
Apple、マッキンゼー、Cocacola、高級ブランド等をお手本にすると良いでしょう。
②もの・サービスを取引し、差益を生む パターンのビジネスモデル
これはあるところからものやサービスを仕入れてそれを別の人に売るというモデルです。特徴としては、売る側(商品)と買う側両方見つける必要があるということ、売った時にものがなくなるということです。
業界でいうと、例えば以下が該当します。
- 小売業界
- EC業界
- 飲食業界
- エネルギー・資源業界
- 金融業界
※飲食は、食材等を仕入れて加工し、付加価値をつけて提供するという文脈でここに分類しています。
GAFAMでいうと、「Amazon」がここにあたります。
また最近流行りのCtoCサービスもこれに分類されると私は考えています。つまり、Uberや、Airbnb、メルカリもここに分類されることになります。
当然各社横流しというわけではなく、何かしらの加工を自社で行っています。加工の種類としては例えば以下が挙げられます。これらは択一的なものではなく複数にまたがるケースも存在します。
- 単位を小さくする(例:食材加工等)
- ローカライズする (例:海外品の輸入販売)
- 購入利便性を上げる (例:コンビニ,Amazon)
- 信頼性を高める(例:Zappos,電気屋の保障サービス)
- 提案する(例:アパレルのリアル店舗)
- 流通速度を高める・マッチング精度を上げる (例:Uber,メルカリ)
- 選択肢を増やす(例:Airbnb,クラウドワークス,ランサーズ)
- 購入体験を向上させる(例:Casper)
このビジネスモデルのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 何を仕入れるのか
- どこから仕入れるか (=どうやってボリュームを集めるか、安く仕入れるか)
- それを誰に売るのか(=市場選定)
- どんな付加価値をつけるのか
CtoCもまずは供給側(つまり商品)をまずは集めた方がよいと言われるように、供給側が極めて重要になります。
また、このモデルは1社独占市場になりやすいです。Amazon、Uber、Airbnb、メルカリなどを見て頂けると納得してもらえると思います。
よってこのモデルはいかに市場を見つけて早く独占するか(=その市場で第一想起を取れるか)が極めて重要です。
一方でもう一つの勝ち筋としては、付加価値の付け方です。これは飲食店が分かりやすいです。仕入れ食材ももちろん差別化要素に繋がりますが、その味であったり、従業員の接客であったり、雰囲気であったり、立地であったり、差別化要素をつけることでも勝っていけると考えます。
他にも、Zapposが良い例でしょう。(こういった視点で切り取ると、AmazonのZappos買収も面白いですね。)
ですので、御社が極めて大きくないのであれば、いかに「付加価値をつけるのか」が勝負になってきます。そういう意味では、楽天の各ショップの取り組みは参考になりそうです。
③人を集めて送客し、手数料を得る パターンのビジネスモデル
これは人を集め、広告を出し、送客することによってマネタイズするビジネスモデルです。1や2と近いのですが、こちらはマネタイズが間接的ということで分けています。つまり、提供している価値と、その対価がずれている点が特徴です。
②の「もの・サービスを取引し、差益を生む」においても「人材」を取引するケース(人材業界など)がありますが、ここでの違いは、
②は労働力としての提供である(買い手がいる)のに対し、③人を集めて送客し、手数料を得る のときの「人」は、買い手としての提供であるため方向が逆になります。
業界でいうと、例えば以下が該当します。
- 広告業界
- 比較サイト等
ですが、広告モデルのwebアプリもこちらに分類されますので、そういう意味だと下記もこれにカテゴライズされます
- SNS
- ニュース
- ゲーム
GAFAMでいうと、「Google」「Facebook」がここにあたります。
このビジネスモデルのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 誰を集めるのか(ターゲット選定)
- いかに安くかつ大量にタッチポイントを抑えるか(集客力やリテンション)
- いかに効率よくお金に変えるか(換金力)
このモデルは、提供している価値と対価が一致しない、という点がとてもミソです。つまり、サービスの価値を高めるだけではなく、その換金力も上げなければならないということです。
このモデルの重要な点は、データを使ってアライメントを修正する事だと私は考えます。
Googleは、圧倒的にユーザーにとって便利な機能を無料で配り、データを蓄積し、それを高精度に広告とマッチングさせることで高い換金力を誇っています。また、コンバージョンデータも計測している事で、高精度にアライメントすることが出来ます。
ちなみに日本語でも、1クリック数万円のキーワードがあるのを知っていますか?改めて凄い精度と効果(広告の成果)です。
ただこのアライメントを修正する、に関しては奥が深いので反響があれば別の記事で説明したいと思います。
またこのモデルは、一定以上のボリュームがないと成立しづらいという特徴があります。よって、
- ユーザーのパイを抑える
可処分時間を奪う
ビジネスモデルを厳密に定義することに囚われず、具体的なアクションをしよう
うちのビジネスモデルは、どれに分類されるのかわからない、という方もいらっしゃるはずです。そうなるはずです。そもそも、世の中にあるものを綺麗にゼロイチで分けることなど不可能です。全てはなだらかで、境界が曖昧にならざるを得ません。これを綺麗にパターン分けしようとした結果が、今のビジネスモデルの洪水のようになっているということです。
これらは、1社1ビジネスモデルでもなく、1サービス1ビジネスモデルでもありませんし、時間軸で変わることもあります。また、1業界が同じビジネスモデルにプロットされることもありません。
大事なことは、このビジネスパターン分類からどのような示唆を得るのか、です。ここで私が伝えたいことは、勝ち筋を見誤らないように注意すべきということです。
※本記事での勝ち筋は、中長期的な意味合いで記載しています。短期的な勝ち筋は異なる可能性はあります。
例えば、あなたがD2Cの会社で働いているのであれば、「ブランド強化」に一番注力すべき、ということです。もちろん、データに基づくパーソナライズも大事ですし、付加価値も大事です。ただ、最重要事項として「ブランド強化」があるべきと私は考えます。
つまり、具体的なブランドイメージが仮にないのであれば最優先で作るべきですし、あるのであればそのブランドの世界観を作るためのデータ取得であり、パーソナライズであり、付加価値であるべきです。
ビジネスアイデア企画を通す・実行する上で必要な、人に伝えるためのビジネスモデルの考え方とは?
上記では自身で考えるためのビジネスモデルについて説明しました。一方で、人に伝える場合にも「ビジネスモデル」という言葉が使われます。
上司にアイデアを伝えた際、「ビジネスモデルについて説明して欲しい」などです。
このケースにおいては上記3種類のモデルではシンプルすぎて伝わりません。
尚、自分が考えるためのツールと、自分が伝えるためのツールはちゃんと分けて考えましょう。概念が曖昧なので使われ方が混同されていますが、道具と同じで正しい使用方法でなければ効果が発揮できません。
人に説明する際に「ビジネスモデルについて説明して欲しい」と言われた際、まずはその説明の目的を理解しましょう。(全ての仕事において、極めて重要だが忘れられがちな
事です)
例えば、以下のケースがあると思います。
- 社内の企画を通すため
- 資金調達するため
- 他の人を巻き込むため
これらに対して「ビジネスモデル」のみを伝えることは、本当に意味があるのでしょうか?ビジネスの世界でありがちですが、手段を指定されて作業を依頼されるときは注意が必要です。その手段が最適ではないケースが往々にしてあります。
弊社株式会社tryXであれば、例えば以下のように考えます。
1の社内の企画を通すためであれば、このビジネスアイデアがどのように事業貢献するかを示す必要がある。よってビジネスのイメージ図(ポンチ絵)に加え、事業の目的、あれば他部門への寄与(シナジー)、売上規模の試算、可能であればコスト試算、使用するデータや蓄積するデータ、必要なリソース(人・物・金)、大まかなスケジュール、実行時に懸念される事項も書いておくべきだろう。
2の資金調達であれば、このビジネスアイデアがどのくらいのポテンシャルを秘めているものなのか、それに対していくらあれば達成できるのかを示す必要がある。よってビジネスのイメージ図(ポンチ絵)に加え、TAM(Total Addressable Marke)や経年計画、必要な予算やその大まかな使い道も書いておくべきだろう。
3の他の人を巻き込むためであれば、その人をわくわくさせ、かつなぜその人が必要かを説明する必要がある。よって、ビジネスのイメージ図(ポンチ絵)に加え、将来展開のイメージ、ロードマップを書いておくべきだろう。また、それに対して不足している内容と、それをあなたが解決できるといったストーリーもあるとGood。巻き込む意味では、既に見えている課題を共有した方が良いかもしれない。
以上のように見ていただくと、同じ「ビジネスモデル」について説明するでも、内容が大きく異なることが理解できるかと思います。
弊社は「ビジネスモデル」それ自体についてあまり意味がないと考えています。
もう少し分かりやすく例えて言うのであれば、それはただの(家具の)設計図でしかなく、いくら設計図にこだわったとして、そこから実は素晴らしい椅子が生み出されるとしても、その設計図から生み出されるものが想像できたり、その価値が伝わらないと物事は進まないわけです。
そのためには設計図を見せるのではなく、実は3Dを見せた方が良いかもしれない。
本当に相手が何を求めているのかを考え、何を伝えるべきかを考えてみてください。
尚、このアプローチについては上で挙げたような記載事項を埋めようと考えている旨についてレビューをもらうことがベストです。何かしらの理由でソリューション固定のケースがたまにあるからです。(その場合は大体役所仕事ですが…)
弊社では、新規事業創出支援・企画・推進支援コンサルティングサービスを行なっております。
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ビジネスモデルジェネレーションに記載の5つのビジネスモデル一覧
一言でビジネスモデルの一覧といっても、いろんな定義や考え方があります。ここでは、上で述べた以外のビジネスモデルの考え方として、「ビジネスモデルジェネレーション」で記載されている5つのビジネスモデルを一覧でご紹介します。
アレックス・オスターワルダー, イヴ・ピニュール氏の書籍、ビジネスモデルジェネレーションでは、以下の5つのビジネスモデルが一覧として定義されています。
- アンバンドルビジネスモデル
- ロングテールビジネスモデル
- マルチサイドプラットフォームビジネスモデル
- ビジネスモデルとしてのフリー戦略
- オープンビジネスモデル
1.アンバンドルビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
アンバンドル企業のコンセプトの中には、顧客ビジネス、製品ビジネス、インフラビジネスと言う3つの異なるビジネスタイプがあります。これらは、 経済的、競争的、文化的に異なることからこれらを分社化などで分けると言うのがアンバンドルビジネスモデルです。
顧客ビジネスにフォーカスする場合は、顧客の探索と獲得関係づくりに注力します。
製品ビジネスにフォーカスする場合は、魅力的な新商品やサービスの開発に注力します。
インフラビジネスは、大量のルーティン作業をこなすプラットフォームの構築と維持に注力します。
このようにどのビジネスにフォーカスするかによって注力するポイントが変わるため、いずれか1つに注力すべきというのがこのアンバンドルビジネスモデルの考え方です。
このアンバンドルビジネスモデル例に挙げられているのがチューリヒのプライベートバンク、Maerki Baumannです。 同銀行は、プラットフォームビジネスである決済まわりを、インコアバンクと言う別組織へスピンアウト(企業が特定の部門を分離して新会社として独立させること)し、同銀行のみならず他の銀行や証券ディーラーへもサービス提供するようにしました。
2.ロングテールビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
ロングテールビジネスモデルとは、多くのものを少しずつ販売するビジネスモデルです。ニッチ製品を数多く販売することで大きな収益を上げることができます。これは、2004年の10月にクリス・アンダーソン氏によって提唱されたモデルです。
このロングテールビジネスモデルでは、 低い在庫コストと、しっかりとしたプラットフォームが必要です。
このビジネスモデルとして有名なものは、Netflix、eBay、Amazonなどです。
また同書では、ブロックでおなじみのレゴによるロングテールビジネスモデルへのチャレンジが記載されています。具体的には、 キャラクターライセンスを獲得しそれを使ったレゴシリーズを出したり、顧客が自分自身のレゴキットを組み合わせてオンラインで注文できるようにしています。これらはいくつかはよく売れますが中には全く売れないものもありますが、 伝統的なまず市場のモデルを保管したり代替するものとして、同社はこの取り組みを進めています。
なお、 このロングテールビジネスモデルを推進するにあたり、小ロット生産が必要となり、よってサプライチェーン構造の変革が必要でした。
3.マルチサイドプラットフォームビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
このマルチサイドプラットフォームビジネスモデルは、複数の顧客グループをつなぎ合わせるビジネスモデルです。 日本では良く、マッチングサービスとも呼ばれたりします。
マルチサイドプラットフォームビジネスモデルの特徴は、グループ同士の交流を促進することで価値が生み出される点、ユーザを獲得すればするほど価値が高まっていく、ネットワーク効果を有する点です。
このビジネスモデルとして有名なものは、Visa,ウィンドウズOS、フィナンシャル・タイムズ、Google、Wii(任天堂)、Facebook、Appleです。
このマルチサイドプラットフォームビジネスモデルの問題は、 こちらを先に集めるべきかと言う鶏と卵問題が発生します。 これに対する1つの解決策は、低価格や無料などで1つの顧客セグメントを支援することです。
4.ビジネスモデルとしてのフリー戦略|ビジネスモデルジェネレーション
少なくとも1つの顧客セグメントが、無料オファーの恩恵を継続的に受けます。支払いをしない顧客の費用は、ビジネスモデルの別の部分か、他の顧客セグメントによって支払われます。このフリー戦略には3つのパターンがあります。① マルチサイドプラットフォームによる無料オファー(広告ベース)、②基本は無料で、プレミアムサービスを有料で提供(いわゆるフリーミアムモデル)、③無料もしくは低価格の最初のオファーで誘引して継続購入させるエサと釣り針モデル。
4-① マルチサイドプラットフォームによる無料オファー(広告ベース)
ビジネスモデルジェネレーションの中では、 ①の広告に基づくフリーは、マルチサイドプラットフォームの1形態と定義しています。
4-②.フリーミアムモデル
フリーミアムモデルとは、無料の基本サービスと有料のプレミアムサービスとを組み合わせたものです。有料サービスに移行するのはごくわずかで、多くの場合有料のプレミアムサービスへの移行は10%を超えません。フリーミアムモデルにおいて注目すべきは、無料ユーザに係る平均コストと有料無料ユーザから有料プレミアムユーザへの移行率です。
このビジネスモデルとして有名なサービスは、Flickr、Redhot、Skype、Dropboxです。
4-③.エサと釣り針モデル
関連商品やサービスの継続購入を促すための、魅力的な、低価格もしくは無料の導入提案が特徴のビジネスモデルパターンです。
このビジネスモデルとして有名なものは、ジレット、携帯電話、プリンターです。
5.オープンビジネスモデル|ビジネスモデルジェネレーション
他のパートナーと組織的にコラボレーションして価値を作り出すために使うモデルです。 大きく2つのモデルがあります。1つ目はアウトサイドイン。これは企業内で外部のアイディアを実行するモデルです。2つ目がインサイドアウト。これは社内のアイディアや眠っている資産を外部パートナーに提供するモデルです。
このビジネスモデルとして有名な事例は、P&Gのコネクト&ディベロップメント、グラクソ・スミスクラインのパテントプール、InnoCentiveです。
本記事のまとめ(ラップアップ)
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