ビジネスにおいて、データの重要性が叫ばれている一方、実際のデータ活用は多くの企業で進んでいません。
Forbesの調査、『2016 Global CEO Outlook』によると、データとアナリティクスの領域は、CEOが考える優先投資対象の上位5にランクインしているほど、企業のトップが課題意識を持っています。一方で84%のCEOが、データの品質に懸念を持っていることが同レポートで示されています。
またGartnerによると、データが低品質なことによって企業に及ぼす機会損失は年間9,700万ドルと言われており、いかにデータ品質を向上させることがビジネスを伸ばしていくポテンシャルを持っているかがわかります。
さらにKPMGによると、高いパフォーマンスを発揮する組織の 41% が、戦略上の優先事項としてデータとアナリティクス分野におけるリーダーシップを挙げています。
目次
デジタルマーケティングにおいて、データ品質をどう定義すべきか?
データ品質に関しては、弊社は以下のように定義しています。
1.データの正確性:
データが正しいかどうか。これは実は一意に決まるものではなく文脈によって変わるので注意が必要です。例えば、webサイトというデータに各サービスのURLが乗っていたとしましょう。例えば食べログのサービスURLがついているようなケースです。これは例えば相互連携パートナーのurlとしては正しいデータですが、toBマーケティングのデータベースとして使う場合は誤り(コーポレートサイトの方が正しい)です。
2.データの鮮度:
情報が新しいか、適切に更新されているかどうか。特に住所情報は集合住宅の場合は変わる可能性が高いデータです。またメールアドレスなどのデータも更新すべきデータでしょう。
3.データの完備性:
どのくらい入力されているか。項目に欠損があった場合、例えばメールアドレスだけ収集して電話番号は収集していないケースなどは、完備性は低くなります。当然100%欠損していないデータしか使えないというわけではありませんが、データが欠損していないに越したことはありません。これはデータを補完するような施策を例えばリードナーチャリングと組み合わせて実施したりしてカバーすることができます。また、いくつかのデータはAIによる類推で埋めることも可能です。
4.データの正規化:
データのフォーマットが統一されているかです。よくあるケースは、電話番号のハイフン、大文字小文字、スペースの全角半角、住所の区切られている位置、などがあります。特に各事業部でデータを集めていたりするケースは、データが統一されていないケースが多いです。その場合、データベースを丸ごと書き換える(もしくはカラムを増やす)などの対応もありますが、データ加工のタイミングでクレンジングプロセスを通す、というやり方もあります。
5.データの権威性:
そのデータがどの程度正しいと言えるのか。例えば、3rd party 使ってユーザーの興味関心データを紐付けることができますが(※正確には紐付けは出来ませんが、ユーザー一人ひとりを予測しない形で類推などができます。)、そのデータのロジックはブラックボックスであり、権威性は低いと言えます。また営業担当者が入力するヨミデータも、ある程度主観が含まれることから、権威性がそれほど高くないデータと言えそうです。
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デジタルマーケティングにおいて、データ品質を担保する具体的施策は何か?
では、データ品質を保つために重要な事は何でしょうか?弊社は以下であると認識しています。
1. オペレーション業務でデータ入力ミスが発生しない仕組みを作る
データの品質が低下する多くの理由は、人的理由です。人手が入ることによって、ミスが必ず介在します。これに対してはダブルチェックを設けたり、システム上バリデーションを実装しておかしな値を入力させない、などの対応が必要です。
これは一度で終わる性質のものではなく、定期的に見直し、改善していく必要があります。
2.顧客との接点頻度を上げてデータをアップデートしていく(鮮度を上げる)
特に顧客データは時間が経過するごとに信頼性が失われる性質のものが多くあります。例えばtoBでは担当者の連絡先情報であったり、toCでは住所情報などです。これに対しては顧客とのタッチポイントを増やしてデータの更新サイクルを上げましょう。例えば、ホワイトペーパーDLの際にデータをアップデート出来るようにしておく、キャンペーン申込時に今のデータを表示しておき、顧客が自分でアップデート出来るようにしておく、などです。
高品質なデータ整備によって、企業にどのようなメリットが生まれるか?
高品質な状態のデータを保つことによって、以下のようなメリットを生み出すことができます。
高品質データ整備のメリット1.意思決定の精度が上がる
データの品質が高まることで、必然的にそこから生み出されるアウトプットの信頼性やリスクが低減し、意思決定の精度が上がります。
例えばマーケティングの分析においても欠損していない顧客の興味関心データがあればより正確なグルーピングに繋がるでしょうし、離反顧客の原因を正しく捉えられるかもしれません。
また、正しい意思決定ができれば、競合他社に対して優位になるでしょう。
高品質データ整備のメリット2.会社の生産性が上がる(オペレーショナル業務の効率化)
データが誤っている、古いなどの理由で、多くの手戻りが発生します。特に一度分析のプロセスを通すと時間がかかりますが、データ元のミスでのやり直しとなるとそれが2重、3重に増えてしまいます。
また、これが正しいデータとは限らないという視点で仕事をするのと、絶対に正しいデータである前提のもとで作業するのでは、全く効率が異なります。例えば、CRMツールに入力しているデータが誤っている、漏れがある場合、誤ったカスタマーサポートを行ってしまう可能性があります。それは、手戻りだけでなく顧客の離反に繋がる可能性もあります。
高品質データ整備のメリット3.コンプライアンス観点で重要
特に顧客に関するデータに関しては非常にセンシティブに扱わなければなりません。パーミッション周りは疎かになりがちなので気をつけましょう。可能であれば、どのお客様が何の規約に同意しているか、どこまで活用して良いのかなどの情報もあることが望ましいです。
また例えば、個人情報データの入力セルを間違えて、情報が見える状態になっていることもあるかもしれません。
高品質データのメリット4.データ販売ができる可能性がある
自社のデータは貴重であるため、競合他社には絶対に渡したくないものです。ですが、別業界であれば話は別であったりします。自社固有のデータであれば、もしかしたら欲しい別業界があり、販売できる可能性があります。
ただし注意点としては、基本的に個人データの販売はできない利用規約、プライバシーポリシーになっているケースが多いため、販売時は個人が特定できない形での販売になります。
ですがこれでも別業界にとっては価値のあるデータになりえます。
例えば不動産業界で持っている地域×家族構成情報及び年収は、コンビニ業界や食品メーカーにとって価値のあるデータかもしれません。
デジタルマーケティングでデータを扱う上での心構え
デジタルマーケティングにかぎらず、全てにおいてデータを扱う上で重要なのは、「目的」です。何の課題を解決するためのデータが必要なのか、これを明確にすることが極めて重要です。しばらく前は、データがあれば何かしらの示唆が生まれる、といった話が盛り上がりましたがあれはレアケースです。基本的には目的がなければデータは価値を生み出さないです。
目的なきデータ分析は、全ての人を地獄に引き込みます。本当にやめましょう。
デジタルマーケティングで適切にデータを活用するためのフローは?
デジタルマーケティングにおけるデータ活用というと、GoogleアナリティクスデータとCRMをかけ合わせた範囲程度のイメージを持たれているかもしれません。そうではなく、もっと広い視野でデータ活用を捉えるべきであると弊社は考えます。その場合、以下のようなフローでデータの活用が行われます。
1.デジタルマーケティングでのデータ活用の目的を設定する
どのようなプロジェクトでもそうですが、目的設定が最も重要です。これはもちろん仮説でもOKです。例えば目標とは、「営業部が紙で持っているアンケートデータをCRMデータと紐付け、それをもとにターゲティングを行ったメールマーケティングを行うことで、従来よりもCVRを高めることが出来るのか?を検証すること。」などのような形が良いでしょう。
逆に例えば「メールマーケティングの効率を高める方法の検証」を目的とした場合は、これではゴールが曖昧でかつ手段が無限に考えられてしまい終わりが全く見えません。目的としては不適切です。
短く箇条書きで済ませたがる方が多いですが、弊社は冗長で良いのでそれを読んだだけで同じイメージが浮かぶくらいの解像度で目標を設定するようクライアント様にアドバイスしています。
2.データの格納先を調査する
データ分析は、通常キー情報と呼ばれる、一意に特定できるキーを紐付けてデータを統合していきます。そのデータ分析に向けて、まずはどこにどんなデータが格納されているか確認します。
例えば上記のケースでも、アンケートデータはどこに格納されているのか、データ化有無とその割合(一部データ化されている、などもあるかもしれません)、そのデータを紐付けるためのデータ格納先はどこか(例えば、アンケートに個別の番号が振ってあり、アンケート番号と顧客番号はエクセル上で管理されている、など)、そのデータフォーマットは何か(RDBであればテーブル定義書があるとよいです。)、などを調査していきます。
それをもとに、何をキーにしてどの情報同士を組み合わせたら分析が出来そうか、あたりをつけます。
3.データの中身を評価する
データの中身を実際に見て、品質をチェックしていきます。
まず見るのはデータの欠損率です。特にキーとなる情報が欠損していないかは重要です。
次に、データ生成の単位をチェックしましょう。ユーザーなのかトランザクションなのか、実は家族単位なのか、などで集計処理の方法が変わります。どのように重複排除、一意にすれば良いかを中身を見ながら設計します。見落としたり勘違いすると大変な事になるので注意です。
他にも大文字小文字が混在しているなど、後続のデータクレンジングが必要な箇所を洗い出します。
4.データをクレンジングする
上記で見つけたクレンジング対象項目を、どのようにクレンジングするかを検討します。大文字小文字をどう統一していくのか、ハイフンは除いて良いのか、などです。一度限りの分析であれば手作業でも構いませんが、何度も分析が必要であればツールやプログラムを用いてクレンジングプロセスを自動で行えるようにするのが良いでしょう。
また、そもそもこういった作業を減らすために上流工程である入力プロセスにメスを入れる必要もあります。これは上で述べた通りです。
5.データを分析する
実際にデータを分析します。少ない量であればエクセルでも問題ありません。例えば相関はCORREL関数を用いればエクセル上で一発で出すことができ、非常に簡単です。他にもAccessを使って簡易SQLを回す方法もあります。
もう少し高度になると、RやPythonを用いて分析したり、AIを組んで分析する/ツールを使う こともあります。
6.データ分析結果をデジタルマーケティング施策に落とし込む
上記で何かしら有益な結果が出た場合、それをもとに実際の施策に落とし込みデータ活用します。ここで成果が出て初めてデータが価値を得ます。分析してデータを見て終わりではなく、何らかのアクションが出来ないか、考えてみましょう。
7.データの品質を担保するために監査を続ける
上記で結果が出た場合、そのデータは会社にとって価値のあるデータといえます。それに関するデータは特に今後も活用するため、品質を担保し続ける必要があります。具体的には、定期的に項目をチェックする仕組みを設ける、誤ったデータが入力されない仕組みを設けるなどです。
組織横断のデジタルマーケティングでは、データ活用難易度が上がる
デジタルマーケティングにおいては、マーケティング部のみで完結するものもありますが、例えば営業組織であったりオペレーション組織、事業部組織(特にマーケティング組織が集客に特化している場合など)など、いくつかの組織にまたがるケースがあります。
そのようなケースにおいては、特に大手企業であればあるほど、データ連携に大変苦労します。データの活用が難しい理由は、以下のようなものがあります。
- データがそもそもサイロ化しており、各組織ごとにデータ管理をしている状態で用意にアクセスができない。
- データの統合はおろか、データの提供でさえもトップの同意が必要であるが、組織間のデータ連携の意義が理解されずに進まない。(通常データ抽出には手間とお金がかかる)
- システムがレガシーであり、使い勝手が悪かったり新たなツールとの連携が難しい。
このようなケースで、まさにデジタルマーケティングコンサルティング支援が役立ちますので、ぜひご検討ください。
デジタルマーケティングにおけるデータ戦略・IT戦略のまとめ
ここまで、デジタルマーケティングにおけるデータ戦略について語ってきました。
データの品質は、正確性、鮮度、完備性、正規化、権威性の5つで定義できます。
品質を担保するには、入力ミスを防ぐ仕組みの導入が重要です。また、顧客接点頻度を上げて情報をアップデートすることが重要です。
データを活用は、意思決定の精度や会社の生産性、コンプライアンス、データ販売の可能性の面で有益です。
データ活用では、目的を設定することが最も重要です。その後、格納先の調査、中身の評価、クレンジング、分析、施策推進という流れで進んでいきます。
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